2025/02/22

Taiwan Today

外交

頼清徳総統、民主陣営の団結と非レッド・サプライチェーン構築呼びかけ

2025/02/21
頼清徳総統は20日、台北市内で開かれた「ハリファックス国際安全保障フォーラム」(HFX Taipei)の開幕式に出席し、同フォーラムの台湾に対する力強い支持に感謝した。(総統府)
頼清徳総統は20日、台北市内で開かれた「ハリファックス国際安全保障フォーラム」(HFX Taipei)の開幕式に出席し、同フォーラムの台湾に対する力強い支持に感謝した。同フォーラムは、カナダのノバスコシア州ハリファックスで毎年開催される防衛・安全保障関連の国際会議で、北米以外での開催はこれが初めて。頼清徳総統は英語で行ったスピーチで、「権威主義が連携を模索する中、民主陣営はますます団結の必要性が高まっている」などと訴えた。頼清徳総統のスピーチの内容は以下のとおり。
 
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まずは来賓の皆さまが、初開催となる台北での「ハリファックス国際安全保障フォーラム」に出席するため、わざわざお越しいただいたことを心から歓迎する。「ハリファックス国際安全保障フォーラム」は毎年カナダで開催されており、自由を愛する世界の国々にとって重要な場所となっている。
 
私は、ピーター・ヴァン・プラーグ会長及び「ハリファックス国際安全保障フォーラム」の台湾に対する力強い支持に感謝する。同フォーラムは2018年以降、毎年台湾を招待しており、昨年は蔡英文前総統がスピーチを行った。今年はさらに、初めての北米以外の開催地として台湾を選択した。
 
プラーグ会長は「現在、安全保障が直面する課題は、単一の国だけで解決できないほど大きいが、世界の民主主義国が手を携えて協力すれば対応できない問題などない」と述べたが、今日、世界各国の指導者や専門家がはるばる台湾へやって来て一堂に集ったことは、台湾に対する重視と支持を示すだけでなく、民主主義国の団結と協力、それに共に様々な課題に取り組もうとする決意を示すものだ。
 
皆さんは「自由の守護者」である。私はこの場を借りて、感謝と敬意を表したい。ロシア・ウクライナ戦争は依然続いており、中国、ロシア、北朝鮮、イランなどの権威主義国家が連携を模索している。また、中国は低価格の製品を輸出することで各国の経済に衝撃を与えている。世界の経済秩序や民主自由、平和や安定は、いずれも深刻な挑戦に直面している。
 
台湾は第一列島線の重要な位置にあり、権威主義の脅威に直面している。しかし、私たちは恐れることなく断固として国家の主権を守り、民主的で自由な生活様式を維持し、台湾海峡の平和と安定を守り続ける。台湾は平和に対して理想を抱いているが、平和に対して幻想を抱いてはいない。我々は「平和は実力によって守られる」という信念をもって、具体的行動を通してさらに強い台湾を築き、民主自由陣営の結束を強めたい。
 
我々は国際社会が台湾海峡問題に関心を寄せていることに心から感謝する。最近米国のトランプ大統領と日本の石破茂首相は日米首脳会談後に共同声明を発表し、台湾海峡の平和と安定、そして台湾の国際参与に対して揺るぎない支持を示した。
 
複雑な国際情勢に直面する中、私は国際社会に対して呼びかけたい。それは第一に、権威主義国が連携を模索すればするほど、民主陣営はさらに団結すべきだということだ。このほど米国、日本、韓国の外相がトランプ米政権発足後初めて会談し、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調するとともに、民主主義制度、経済的独立、世界の安全と安定を損なういかなる行為に対しても共同で反対する意志を表明した。これに関しては台湾も、引き続き貢献できるよう力を尽くしたい。
 
最近、私は特別予算の編成によって台湾の防衛費をGDP(域内総生産)の3%以上に引き上げる方針を表明した。私は昨年の総統就任後、まもなくして総統府内に「全社会防衛靭性委員会」(全社会防衛レジリエンス委員会)を設立した。これは、政府と民間の力を結集して、国防、民生、防災、民主主義の四大レジリエンスを高めることを目的にしたものだ。また、民主陣営との戦略的パートナーシップを深め、互いの防衛の強靭性(レジリエンス)を高め、抑止力を発揮し、世界平和の目標を達成したいと考えている。
 
第二に呼びかけたいのは、ともに「非レッド・サプライチェーン」を構築しようということだ。民主陣営が権威主義の拡張を効果的に抑止するためには、強力な技術力を国防の基盤として産業の発展を促し、そして経済の強靭性を高める必要がある。中国主導の「レッド・サプライチェーン」や低価格商品の輸出による衝撃に対抗するため、台湾は民主陣営と団結して協力し、民主主義国が持つ技術的優位性を維持しつつ、ともに堅固な「非レッド・サプライチェーン」を築いていきたいと願い、かつその能力も有している。
 
半導体大国として、台湾は民主陣営による世界規模の「サプライチェーン・パートナーシップ・イニシアティブ」を提唱し、民主主義国とともにAI専用チップのサプライチェーンによるグローバル・アライアンスや、高性能チップ関連産業の民主主義のサプライチェーンを築くことを目指したいと考えている。台湾の半導体産業のこんにちの成果があるのは、我々がともに努力してきた結果だ。過去50年間、産官学研の協同によりさまざまな問題を克服したことで、台湾の半導体産業は世界をリードするに至ったのだ。
 
我々は台湾を拠点として民主陣営のパワーを結集し、半導体産業のサプライチェーンにおいてそれぞれが適切な役割を果たし、それぞれの強みを発展させることで、互いに利益を得られ、足りないところを補える科学技術の連携を深化させたいと考えている。それは、台湾や各国に共通の経済利益に合致するだけでなく、抑止力を高め、世界の安全を守ることにつながるだろう。
 
第三に呼びかけたいのは、我々が団結することで、平和の夜明けを再現しようということだ。中国の台湾に対する「文攻武嚇」(言論攻撃と武力による威嚇)は絶えることがない。昨年中国は台湾海峡で何度も大規模な軍事演習を実施し、「グレーゾーン」での圧力を高めた。これはインド太平洋地域の平和と安定に深刻な脅威を与えた。国際社会の責任ある一員として、台湾は台湾海峡の現状を維持しなければならない。我々の主導で衝突を引き起こすことはなく、我々は「対等かつ尊厳」という原則の下、中国との対話に応じ、台湾海峡の平和と安定を守るために尽力する。
 
このフォーラムのアジェンダでも示されているように、民主主義と自由はチャンスを創出するだけでなく、強靭性、正義、パートナーシップ、安全をもたらすだろう。
 
台湾は引き続き、民主主義諸国とともに新たな時代を築いていくだろう。最後に改めて皆様の訪問を歓迎し、フォーラムの円満な成功を祈念したい。
 
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このフォーラムには国家安全会議の呉釗燮秘書長、諮問委員の黄重諺氏、外交部の林佳龍部長(外相)、国防部の顧立雄部長、国家安全会議の徐斯倹秘書長、林飛帆氏、立法委員の范雲氏のほか、安倍晋三元首相の妻である安倍昭恵氏、「ハリファックス国際安全保障フォーラム」のピーター・ヴァン・プラーグ会などが出席した。
 

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