外交部の林佳龍部長(外相)がアフリカ南部エスワティニ王国へ向けて出発した。エスワティニ王国はアフリカで唯一、中華民国(台湾)と正式な外交関係を持つ。林部長は総統の特使として国王ムスワティ3世の57歳の誕生日を祝うイベントなどに出席し、26日に帰国する。
林部長はエスワティニ王国滞在期間中、国王ムスワティ3世の誕生祝賀式典及び関連のイベントに出席するほか、ムスワティ3世や王母ヌトンビに謁見する。また、ラッセル・ドラミニ首相、ポリレ・シャカントゥ外相と会談を行い、二国間の関係強化や今後のプロジェクトなどについて意見を交わす。林部長は、頼清徳総統から国王ムスワティ3世に宛てた親書と信任状を捧呈する。また、現地の習慣にのっとり、国王ムスワティ3世と王母ヌトンビにそれぞれ活きた牛を贈呈する。
特使団の一行はこのほか、台湾がエスワティニで実施した重要な支援プロジェクトの成果を示す複数のイベントに出席する。これには例えば、台湾の支援で建設する「戦略的石油貯蔵タンク建設プロジェクト」の始動を宣言するイベントや、「起業する女性を対象としたマイクロファイナンス・リボルビングファンド」、「エスワティニ王国5G政府及びスマートシティに向けた発展」などのプロジェクトを含む。また、台湾の支援によって建設した「ムババーネ・ガバメント病院」(Mbabane Government Hospital, MGH)の救急病棟の視察も行う。また、林部長はこの訪問でポリレ・シャカントゥ外相と「情報操作対策および情報の完全性促進に関する協力覚書」に署名し、台湾の経験をエスワティニ王国と共有することで、エスワティニ王国が現在直面しているサイバーセキュリティ分野の問題解決を図る。
林部長は同時に、台湾が持つ産業の優位性を活かした「総合外交」を推進し、且つそれが提唱する「栄邦計画」(外交関係を持つ国との関係を強化し、相手国の発展を促す計画)の実践を通じて、エスワティニ王国との経済的強靭性(レジリエンス)強化に取り組む。林部長は今回の外遊で、中華民国(台湾)政府を代表する特使団を率いると同時に、産業界の関係者からなる経済・貿易分野の視察団も同行させ、台湾とエスワティニの両国がビジネス、投資、労務などの分野で協力できる可能性について現地で模索したい考えだ。これにより、台湾企業が将来的に、エスワティニを足掛かりとしてアフリカ市場への進出を図り、台湾とアフリカの「共栄」のビジョンを実現するための一助となるよう目指す。
台湾とエスワティニ王国は1968年に国交を樹立した。それ以来、二国間の協力プロジェクトはさまざまな成果を上げ、ハイレベルの相互訪問も頻繁に行われている。昨年5月には国王ムスワティ3世が100名規模の大規模な代表団を率いて訪台し、頼清徳総統の就任式に出席した。エスワティニ政府は台湾の国際組織への参加を一貫して支持しており、台湾にとって最も堅実な友好国の一つと言える。外交部は「今回の特使団および経済視察団の訪問を通じて、台湾とエスワティニの協力関係がさらに深化し、両国の友好関係が一層強化されることを期待している」とコメントしている。