2025/05/10

Taiwan Today

外交

頼清徳総統、日本の西村康稔元経済産業大臣との会談で台日関係強化に意欲

2025/05/06
頼清徳総統は5日、日本の元経済産業大臣である西村康稔衆議院議員とその一行と総統府内で会談した。一行はほかに、衆議院の田中和徳議員、西銘恒三郎議員、佐々木紀議員、簗和生議員、加藤竜祥議員、神奈川日華親善協会の松本純会長など。(総統府)
頼清徳総統は5日、日本の元経済産業大臣である西村康稔衆議院議員とその一行と総統府内で会談した。西村議員とその一行は3日に台湾を訪問。5日には台湾の経済団体である工商協進会と三三会が主催する経済シンポジウム「2025台日経貿論壇:新時代的台日合作」で講演を行った。一行はほかに、衆議院の田中和徳議員、西銘恒三郎議員、佐々木紀議員、簗和生議員、加藤竜祥議員、神奈川日華親善協会の松本純会長など。
 
頼総統はまず、ゴールデンウィークという貴重な休暇を利用して台湾を訪れた一行を歓迎した。また、安倍晋三元首相の信頼も厚く、長年政府の要職を歴任してきた西村議員にとっては17年ぶりの訪台であることを喜び、この17年間の台湾の進歩と発展を実感してくれることと信じていると述べた。長年台湾と日本の地方交流の促進に取り組んできた田中和徳議員やその他の議員についても、今回の台湾訪問で台湾への理解をより深められるよう期待を寄せた。
 
頼総統は、一行が前日高雄(台湾南部)に足を運び、安倍晋三元首相の銅像に献花したことに触れ、「安倍元首相は明確なビジョンと広い国際視野を持った政治家だった。世界のリーダーに先駆けて自由で開かれたインド太平洋のビジョンを提唱したり、『台湾有事はすなわち日本有事』と発言するなど、台湾を強く支持してきた。これは台湾の人々に大きな感銘を与えた」と述べた。
 
頼総統はまた、近年中国は台湾海峡、東シナ海、南シナ海、そして日本海などで軍事演習を行い、周辺諸国に対してグレーゾーン作戦を展開し、地域の平和と安定を破壊していると指摘。同じように第一列島線に位置する台湾と日本が連携を強化し、ともに対応する必要があると訴えた。また、とりわけ台湾と日本は自由、民主主義、人権といった普遍的価値を共有する民主主義のパートナーであることから、双方が海洋の安全、社会の強靭化、中国のグレーゾーン作戦への対応などの方面で協力を強化できれば、それが抑止力となり、インド太平洋地域の平和と安定を確保し、我々が大切にしている民主主義体制を守ることができるはずだと訴えた。
 
頼総統はさらに、経済・貿易を取り巻く世界情勢が目まぐるしく変化する中、経済安全保障の重要性が高まっているとして、台湾は日本との経済協力をさらに深め、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟と同時に、日本との経済連携協定(EPA)の締結などを目指し、日本と半導体、水素エネルギー、AI、無人機等の分野で産業協力を展開し、「ノンレッドサプライチェーン」の強靭性を高めながら、互いの繁栄と発展を促進できるよう期待していると述べた。
 
これに対して西村議員は、安倍元首相が2020年に亡くなった際、当時副総統であった頼清徳総統が葬儀に駆けつけてくれたこと、頼総統と会うのはそのとき以来、2回目であることなどを振り返り、今回の訪台は安倍元首相の遺志を受け継ぐものであると説明した。また、台湾と日本は普遍的価値を共有しており、経済協力や人的往来など緊密な関係にあると指摘。昨年(2024年)、観光や商務目的で日本を訪れた台湾人旅客は延べ600万人を超え、人口比で見れば、台湾は日本を訪れる人が最も多い国であるとして、今後は日本からも多くの人が台湾を訪れ、台湾観光を楽しむことを期待していると述べた。
 
西村議員はまた、前日に高雄を訪れて安倍元首相の銅像に献花したことや、台南にも立ち寄り、現地のフルーツやグルメを味わったことなどに触れた。話題は日本統治時代に烏山頭ダムを建設した八田與一技師と、その命日が5月8日であることにも及び、これを契機として、台湾を思い、台湾を愛した八田技師の気持ちを受け継ぎ、台日の絆をより強く、深いものにしていきたいと述べた。
 
また、台湾が加盟を目指すCPTPPについては、経済産業大臣を務めていた時代に、日本政府を代表してこれを歓迎すると発言したことがあると指摘。TSMC(台湾積体電路製造)の熊本工場建設では、日本政府も多くの支援を行っており、台湾と日本が半導体分野で相互協力することで、半導体産業がさらに発展し、より強靭なサプライチェーンが構築されると信じていると述べた。
 
西村議員は、安倍元首相がかつて「台湾有事はすなわち日本有事」と述べたことにも言及。現在欧州諸国の多くがアジア太平洋地域の平和と安定に強い関心を寄せているが、それはこの地域の平和と安定が国際社会全体の平和と安定に直結しているからであり、つまり「台湾有事やすなわち世界有事」とも言えるからだと述べた。西村議員はまた、台湾海峡の平和と安定を維持するためには、近い理念を持つ国々や同盟国が緊密に連携し、このメッセージを明確に発信していくことが不可欠であり、台湾と日本の関係強化や国際情勢の変化といった課題について頼総統と意見交換ができることを大いに期待していると述べた。
 

ランキング

新着