欧州各国の親台湾派議員によって構成される「フォルモサクラブ」(Formosa Club)が16日、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長宛てに、台湾を第78回WHO総会(WHA)及びWHO関連の会議、メカニズム、活動に参加させるよう求める書簡を発出した。署名に参加したのは欧州議会、欧州29カ国の国会に所属する国会議員534名。この書簡の写しはアントニオ・コスタ欧州理事会議長、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、カヤ・カッラス欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表にも送られた。
この書簡では、台湾が長年にわたり世界の公衆衛生システムから排除されており、それにより関連の情報を即時に入手できず、また自らの専門的知見を世界と共有することもできない状況が、世界の健康安全保障システムに深刻な影響を及ぼしていると指摘している。また、台湾が2003年のSARS流行時や2019年末の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック初期の段階で重要な警告を発していたにもかかわらず、国際保健規則(IHR)の連絡のメカニズムに組み込まれていなかったために、その警告が無視され、世界の感染症防止体制に抜け穴を生じさせたことも指摘している。
また、この書簡では、WHOが台湾を排除することの法的根拠を否定。1971年に採択された国連総会第2758号決議やWHO総会(WHA)第25.1号決議はいずれも台湾に言及していなければ、中華人民共和国が台湾を代表して国連システムに参加できるという権限を与えたものでもないと指摘している。また、欧州版「フォルモサクラブ」に参加する国の中では、欧州議会をはじめ、オランダ、イギリス、チェコ、ベルギー、カナダなどの国会議会が、国連総会第2758号決議の正しい解釈を呼びかけるとともに、台湾の国際組織への有意義な参加を支持する立場を明確にしていると述べている。
欧州版「フォルモサクラブ」はその上で、「健康は基本的人権である」と強調。台湾は立派な医療体系と国際協力の精神を有しているとして、世界保健機関(WHO)に受け入れられ、WHOの専門性、公信力および包容性を強化するべきだと主張している。また、WHOに対して、普遍性、中立性、専門性という原則を堅持し、WHO総会のオブザーバーという台湾の身分を速やかに回復するよう呼びかけている。これにより、台湾が世界の公衆衛生に対し、より具体的かつ実質的な貢献を果たし、「健康を促進し、世界を守り、弱者に奉仕する」というWHOが提唱する使命の実現を手助けすることができるだろうと述べている。
こうした動きを受けて外交部は、「近い理念を持つ欧州のパートナーが、長年にわたり実際の行動をもって台湾の国際参加を支持していることに深く感謝する。今後も欧州議会および各国議会との連携を一層強化し、共に世界の公衆衛生の強靱性と福祉の増進に努めていきたい」とするコメントを発表している。