外交部の林佳龍部長(外相)は今月、英ロンドンに本社を置くアラビア語日刊紙『アッシャルクル・アウサト』の編集者Fatah Al-Rahman Yousouf氏による書面のインタビューを受けた。関連の報道は今月18日付けの同紙に掲載され、翌19日には英語版も公開された。林部長はこの中で、世界の半導体サプライチェーンにおける台湾の重要性を強調すると同時に、台湾が友好国との間で、強靭かつ多様性のあるサプライチェーンのネットワークを構築したいと願っていることなどを伝えた。なお、中東のアラブ系メディアが台湾の外交部長に対するインタビュー記事を掲載するのは35年ぶりのこと。林部長の回答の概要は以下のとおり。
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台湾は世界の半導体サプライチェーンにおいて重要な役割を果たしている。特に新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックやロシア・ウクライナ戦争の影響を受け、多くの国が安全かつ強靭なサプライチェーンの構築に向けて動きを加速させている。台湾と米国はハイテク分野において補完的なパートナーシップを築いている。米国は世界をリードする技術大国であり、台湾は世界有数の半導体製造拠点だ。台湾は全方位的な産業能力と厳格な知的財産権保護のメカニズムを持っており、米国が構築を目指す強靭性と戦略的を兼ね備えたサプライチェーンにとって、中核的な頼れるパートナーとなるだろう。
台湾はいま、米国との間の新たな産業展開政策として「台湾+1」というものを打ち出している。台湾の対米投資は現地の雇用機会の創出だけでなく、米国の製造業にも大きく貢献している。TSMC(台湾積体電路製造)をはじめとする多くの台湾の大手企業が、米国での事業拡大を積極的に進めている。また、半導体サプライチェーンのパートナーシップ・イニシアティブの提唱を通じて、米国や近い理念を持つその他の国々と連携し、より強靭で多様性に富んだサプライチェーンのネットワークを構築したいと考えている。
台湾経済は現在、世界第21位の規模を誇る。世界の半導体の約60%、先端半導体に至っては95%が台湾で生産されている。つまり、台湾は世界のサプライチェーンにおける重要なハブなのである。台湾の産業はすでに世界各地に広がっている。我々は今後も台湾が持つ優位性、専門知識、サービスを活かして新たなスマート・ソリューションを生み出し、盟友国がSDGsの目標を達成できるように支援していきたい。
米国の関税政策について、台湾は積極的に対応していきたい。台湾はすでに米国の優先交渉国リストに含まれている。相互関税への対策をしっかり講じることで、我々の利益を最大限に確保していきたい。台湾には「台湾企業による対米投資チーム」の設立構想がある。米国市場は技術力、資本、人材といった方面で優位性を持っている。台湾はこうした米国の優位性をうまく活用し、米国とともに「台米連合艦隊」を構築し、双方にとってのウィンウィンの成果が得られるよう目指したい。
『アッシャルクル・アウサト』は1978年に創刊された。本社を英ロンドンに置く。アラブ世界および国際社会において大きな影響力を持ち、かつて『ニューヨーク・タイムズ』から「アラブ地域で最も歴史があり、影響力のある日刊紙の一つ」と評されたことがある。