欧州議会は昨年10月、「中国による国連総会第2758号決議の不当な解釈、及び台湾に対する継続的な軍事挑発」に関する決議案を可決した。欧州議会はその中で、台湾と欧州は地理的に遠く離れているものの、同じように民主主義、自由、法の支配といった価値観を共有し、緊密な関係で結ばれていると強調した。林佳龍部長はまず、この一件を踏まえて一行に謝意を伝えた。これに対してラトビア出身のReinis Pozņaks議員は、「ラトビア人として台湾海峡の情勢に高い関心を寄せているだけでなく、隣国から強い脅威を受けるという状況を身をもって知っている。権威主義の拡張という挑戦に対して、民主国家は一致団結し、一緒になって自分たちが共有する普遍的価値を守っていかなければならない」と訴えた。
林部長はまた、台湾は現在強靭で且つ多元的なサプライチェーンの構築を積極的に推進していると指摘。複雑化する国際情勢の中で、台湾と欧州が協力してより強靭で持続可能な「非レッドサプライチェーン」(中国企業に依存しない供給網)を築くことが特に重要だと強調した。
林部長はさらに、「多様な文化」は民主社会の基礎であるとして、今年は台湾の外交部と文化部が連携し、「ヨーロッパ台湾文化年」と銘打った一連のイベントを開催する計画であることを説明。今年は欧州に向けて台湾のソフトパワーを示す絶好の機会になるだろうと述べた。
今年は国立故宮博物院の文物百点以上がチェコおよびフランスで展示される。外交部は欧州各地に設置する台湾の在外公館と連携して広報活動を強化し、ヨーロッパの人々に対して台湾の豊かな文化的背景を紹介するとともに、台湾と欧州が共有する民主的価値観への共感を深めていきたい考えだ。これに対してBeatrice Timgren議員は、この文化交流計画を高く評価した上で、「文化は人々が自己認識を深めるための重要な基盤だ。今後台湾と欧州の文化的なつながりがさらに深まることを期待している」と述べた。
その後、林部長に代わって外交部の呉志中政務次長(=副大臣)が午餐会を主催し、一行をもてなした。呉次長は、「台湾とEU(欧州連合)は自由、民主主義、法の支配といった基本的価値観を共有する近い理念を持つパートナーだ。双方の経済・貿易および投資などの交流は非常に活発だ」と述べた。呉次長はまた、中国の武力的脅威に直面する中、台湾は「Not Today」(今日ではない)という政策(つまり、中国に対して武力行使に踏み切るのは『今日ではない』と思いとどまらせる戦略)の展開に努めており、つまりそれには(1)自己防衛の決意を示す、(2)盟友との連携を強化する、(3)国際社会からの支持を取り付ける――の3つが不可欠であることを説明した。呉次長は続けて、「だから台湾は、欧州議会が複数回にわたって台湾に友好的な決議を採択し、EUと台湾の関係深化や台湾の意義ある国際参与への支持を呼びかけ、台湾海峡の平和と安定という現状維持を守ることを強く呼びかけていることに深く感謝している」と述べた。
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欧州議会の一行が台湾を訪問するのは、今年2月に続いて2度目となる。これは欧州議会が台湾を重視し、支持していることを意味するものだ。外交部はこれについて「わが国と欧州議会の関係を引き続き深化させ、堅固で互恵的な価値同盟のネットワークを構築し、インド太平洋地域の平和と繁栄を共に守っていきたい」とコメントしている。