■台米貿易交渉の進展
台湾と米国の貿易交渉は現在順調に進んでおり、双方の意思疎通は円滑だ。技術的詳細について一部明確になっていない点もあるものの、米国側が提示した90日間の猶予期間が終了するまでに、「完璧で素晴らしい」内容の結果をまとめることができると自信を持っている。台湾はこの交渉を通じて、米国と公正かつ互恵的な貿易関係を築きたいと期待している。トランプ政権下の関税政策とそれによって引き起こされる影響について台湾の立場は一貫している。今後も全力で交渉を進めていきたい。
■米国による関税の引き上げ
米国側は一部の製品について高い関税を課す可能性があるが、台湾は他国よりも有利な税率を勝ち取りたいと願っている。つまり、他国の関税が10%であれば、台湾は10%未満を目指す。関税の引き上げは企業の利益を圧迫し、コストを押し上げ、最終的には台湾企業による対米投資にも不利になるからだ。米国側には、経済全体の利益という観点から政策を見直すよう呼びかけていきたい。
■台湾の立場とは
台湾は米国との交渉において、農民の権益確保や食品の安全を守るという立場と同時に、市場開放への誠意も明確に示している。交渉の焦点は、双方の「期待」を調整しながら、米国側の具体的な関心事項を整理することにある。台湾は今後も実務的な姿勢で協議を進めていきたい。
■エネルギー問題
台湾はすでに米国から、今年6月初旬に米アラスカ州で開催されるエネルギー関連の会合への招待を受けている。この会合では、液化天然ガス(LNG)の調達やパイプライン計画など関連インフラ投資について意見交換を行う予定だ。台湾の石油・ガス大手である台湾中油(CPC)は今年3月、アラスカの公営企業と液化天然ガス(LNG)の開発・購入に向けた基本合意書を結んだ。台湾はアラスカからの液化天然ガス(LNG)調達やパイプライン計画に高い関心を寄せており、「エネルギー供給の多様化を強化する」という決意を明確にしている。
■台湾元の為替問題
今回の台米貿易交渉の内容に台湾元(ニュー台湾ドル)の為替問題は含まれない。台湾では自由貿易経済体制が確立されており、為替の変動は市場によって決定されるべきだ。現在アジア各国の通貨が上昇傾向にり、台湾元の為替レートの推移も合理的範囲内と言える。市場では「台湾元の上昇は米国に対する善意の表れ」との見方もある。しかしこれは、台湾の中央銀行の能力と考えを過大評価した見方だ。中央銀行は一貫して市場のメカニズムを尊重しており、為替市場への介入は基本的に行わない。為替変動があまりに大きく経済全体の安定への影響が懸念される場合に限り、適度な調節を検討している。
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