頼総統は、小林議員が経済の安全保障、科学技術の革新、航空宇宙政策などに長年関わってきたことや、昨年の自民党総裁選では初出馬ながら注目を集めたことなどに言及し、日本の政界で非常に大きな影響力を持つ「期待の星」であると称賛した。また、今回の訪台は具体的行動によって台湾への強い支持を示すもので、大きな意義があると述べて歓迎した。
頼総統はさらに、台湾と日本は第一列島線における重要な防衛の要衝に位置すると指摘。安倍晋三元首相、菅義偉元首相、岸田文雄前首相、そして現職の石破茂首相などが、いずれも台湾海峡の平和と安定の重要性を繰り返し強調し、力や威圧による現状変更に反対する姿勢を示してきたことに感謝した。また、今後もインド太平洋地域の平和と繁栄を促進すべく、日本と各方面でより多くの協力と交流を実現できるよう望んでいると伝えた。
頼総統は、中国が近年、「レッド・サプライチェーン」の拡張を積極的に進め、世界の自由貿易体制や先端技術市場を脅かしていることに懸念を示した上で、台湾は民主主義陣営の強みを結集し、信頼性の高い「非レッド・サプライチェーン」の構築を目指していると述べた。そして、台湾は特に半導体産業で優れた製造能力を持ち、一方で日本は材料、設備、技術開発に強みがあるとし、台日連携の経験を基に、民主主義国家の産業ネットワークをつなげることで世界経済のレジリエンスと持続可能な発展を確保できるだろうと訴えた。
頼総統はまた、台日間の「経済連携協定(EPA)」締結に向けた協議の加速や、台湾のCPTPP加盟に対する支持についても日本側に要請し、これは双方にとってウィン・ウィンの関係を作るもので、地域の経済安全保障と安定にもつながると述べた。
これに対して小林議員は、自分が最も好きな言葉は「絆(きずな)」であり、それは「深くて強い友情」を意味するものだと説明した。そして、7年ぶりとなる今回の訪台の主な目的の一つは、この台日間の絆を改めて示すことだとし、台湾と日本は歴史的にも深いつながりを持ち、経済、人的往来、感情などの方面でも心が通じ合うパートナーであると述べた。また、台湾と日本は戦略方面でも重要な「絆」で結ばれており、「台湾を孤立させないこと」がいまの日本の重要な戦略だと強調した。
小林議員はさらに、台湾と日本、ひいては台湾、日本、米国の三者の協力はかつてないほど重要になっており、今回の訪問のもう一つの目的は、頼総統が言及した「非レッド・サプライチェーン」構築に関して具体的な意見交換を行うことだ明かし、日本初の経済安全保障担当相として、そして現在、自民党の経済安全保障政策の責任者を務める自分にとって、経済安全保障は国益を左右する重要な問題であると実感しており、今後も台湾と「非レッド・サプライチェーン」の構築を目指して具体的行動をとるべく、踏み込んだ意見交換を行っていきたいとの考えを示した。