蕭美琴副総統は26日午前、小林議員と総統府内で会談した。蕭美琴副総統は、戦争、関税、安定したサプライチェーンへのニーズなど新たな課題が次々と生まれる中で、台湾が国全体の安全保障体制を確保するには、経済の安全保障、軍事の安全保障、そして社会のレジリエンスに関する連携と協力がいずれも重要な構成要素になるとして、今後も日本とこうした分野で相互理解を深め、さらなる協力の機会を生み出すことで、地域の平和と安定のためにより盤石なパワーを生み出して行きたいと述べた。
小林議員はその後、外交部内で記者会見を開いた。小林議員は、今回が7年ぶりの訪台であったことに触れた上で、「日本と台湾は基本的価値観を共有しており、日本にとって台湾は長年の友人でありパートナーである」と述べた。また、今回の訪台では特に頼清徳総統と幅広いテーマについて意見交換を行ったことが大きな収穫だったとし、「頼総統はまだ語りたいことがあったようだったが、互いのスケジュールの都合上、会談は1時間半で終了した。しかし、非常に実りある内容だった」と振り返った。そして、最も印象に残った言葉として、頼総統が語った「インド太平洋地域の平和と安定のために、日本がリーダーシップを発揮することを強く期待している」という一言を挙げた。
小林議員は今回の訪台の目的について、「自分は政治家として『心の絆』を大切にしているが、日本と台湾の間には『歴史』、『経済』、『心と心』の3つの絆がある。こうした絆をさらに深めていきたい。また、これらの絆には戦略的意味があり、それはつまり『いかなる時も決して台湾を孤立させてはならない』という信念であり、今回はそういう思いを持って訪台した」と説明した。
小林議員はまた、今回の訪問では「非レッド・サプライチェーン」(中国の影響や中国企業などを排除した供給網のこと)についても頼総統、韓國瑜立法院長、台湾の閣僚らと具体的な意見交換を行い、有意義な成果があったことを明かした。
なお、外交部の林佳龍部長(外相)は26日正午、小林議員のために午餐会を主催し、自身が推進する「総合外交政策」、中国の台湾に対するグレーゾーン行為とその対策、台湾と日本による第三国での協力などについて意見交換を行った。林部長は、台湾と日本の産業は高度に補完的だと指摘した上で、現在中国が積極的に世界のハイテク産業の主導権を掌握しようとしする中で、台湾と日本が協力して「民主主義陣営による非レッド・サプライチェーン」を構築し、経済のレジリエンスと産業の競争力を強化する必要があると訴えた。この午餐会には台北海洋科技大学の呂曜志学長、国防安全研究院秘書室の林彦宏主任、日本台湾交流協会台北事務所の片山和之代表(日本大使に相当)なども同席し、活発な交流が行われた。