外交部の林佳龍部長(外相)は9日、台湾企業の代表からなる訪問団を率いて南米パラグアイへ向けて出発した。現地ではパラグアイのサンティアゴ・ペニャ大統領やルベン・ラミレス・レスカノ外務大臣などと会談を行うほか、ラミレス外務大臣とともに中華民国(台湾)とパラグアイの国交樹立68周年記念レセプションを主催して両国の強固な関係をアピールする。
林佳龍部長は、外交部長就任以来、「総合外交」を掲げて台湾と世界との交流を促進してきた。この「総合外交」とは、民主主義の価値に基づいて国際的なつながりを深める「価値外交」、二国間および多国間協力を通じて地域の平和と安全を強化する「同盟外交」、さらに台湾を「経済の日の沈まぬ国」とする「経済・貿易外交」を三本柱とするもの。また、この「総合外交」の枠組みの下、台湾の優れた産業や分野の成功経験を国交樹立国や友好国などに輸出して、台湾とこれらの国々が一緒になって繁栄を享受できるようにする「栄邦計画」を推進している。
林部長は今回、この「栄邦計画」の成果を現地で把握するため、台湾の「科学園区」(サイエンスパーク)の成功経験を導入した工業団地「台湾・パラグアイ・スマートテクノロジーパーク(Taiwan-Paraguay Smart Technology Park)」や、国立台湾科技大学とパラグアイ政府が設立した公立大学「台湾・パラグアイ科技大学(Universidad Politécnica Taiwán Paraguay)」、それに台湾から輸入したEVバスの実証計画、医療情報管理の効率向上計画の進捗状況などを視察することにしている。既存の協力関係を基盤として、そこに台湾が強みとする科学技術を導入することで、パラグアイの科学技術産業の発展を促す。そして台湾が推進する「価値外交」を「付加価値外交」へと高め、世界に向けて「台湾が支援し、パラグアイが先導する」という協力の成果を示したい考えだ。
なお、台湾はパラグアイとの産業協力を拡大するため、「台湾・パラグアイ・スマートテクノロジーパーク」を台湾のデジタル応用サービスの実証拠点として活用することを目指している。このため林部長は今回、半導体、ICT、スマート輸送、スマート畜産・農業、建設・施工、ハイテク機能性繊維など、パラグアイとの協力のポテンシャルを持つ台湾企業の代表に参加を呼びかけ、一緒にパラグアイを訪れている。これにより、台湾企業のグローバル展開を促進すると同時に、台湾とパラグアイの経済・貿易交流とサプライチェーンの連携を強化し、経済・貿易分野におけるウィン・ウィンのパートナーシップを一層深化させたい考えだ。