国家人権委員会が6日に発表したプレスリリースによると、同委員会を訪れたのはアムネスティ本部の政策顧問を務めるマルコ・ペロリーニ氏、アジア太平洋地域事務所の研究員であるChanatip Tatiyaker oonwong氏、およびアムネスティ台湾の邱伊翎秘書長など。
国家人権委員会の紀恵容副主任委員は、ヘイトスピーチの解消・根絶は国家人権委員会が取り組むべき責務だと指摘。2023年には「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(CERD)」の第1回政府報告に関して、国家人権委員会が国に対して人種的憎悪を禁じる関連法規の制定または改正を提言するとともに、デジタルプラットフォームに関しても十分な監督・管理のメカニズムを構築する必要があると指摘したことを説明した。また、行政院が提出した「反差別法」草案に関しても、ヘイトスピーチを対象として明確に含めるべきだと提言していることを明らかにした。紀副主任委員はまた、今後、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」や「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」、および「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)」などに関する政府報告について評価意見を作成する際にも、この問題に引き続き注目していくことを約束した。
アムネスティのペロリーニ氏は、先進国の事例から見ても差別やヘイトスピーチについては明確な定義が必要であり、台湾でもヘイトスピーチを「反差別法」の対象として取り込み、人権侵害やハラスメントにつながる表現を制限・禁止する必要があると指摘した。また、台湾の政府に対し、インターネットのプラットフォーム、ソーシャルメディア、企業を対象としたヘイトスピーチに関する法規制またはガイドラインを設けるよう提言すると述べ、各プラットフォームが運営上の言論の自由と人権侵害とのバランスを各自で評価できる仕組みを作るべきだと強調した。
また、アジア太平洋地域事務所のChanatip Tatiyaker oonwong氏は、アムネスティの研究によれば、タイや韓国ではインターネット由来の性暴力が、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャはインターネット上で受けたデジタル暴力が、いずれも現実世界での身体的暴力につながっている事例が明らかになっていると指摘。人権委員会に対して、人権への影響や侵害に関する多角的な研究・調査プロジェクトを実施することで、その結果を参考にして政府が関連の法規を策定し、国際人権基準に合致することができるよう協力すべきであると提言した。