台湾と韓国との競争はますます激しくなっている。世界銀行が19日に発表した、「2012年世界ビジネス環境報告」で、台湾が24位から25位に後退したのに対し、韓国は15位から8位に躍進した。最近の国際的に重要なランキングにおいて、韓国が台湾を初めて上回った。7月に発効したEUとのFTAも理由の一つであろう。米韓FTAが来年発効すれば、韓国の競争力はさらに強まり、国際社会において、資金や産業の面で、台湾との競争は一層激しくなろう。
中華民国(台湾)にとって、韓国は輸出における最大のライバルである。韓国がここ1年近くでEU、米国とFTAを結んだことは台湾の産業にとって大きな脅威である。経済部の関係者は13日、米韓FTAによる衝撃は紡績、既製服、機械、プラスチックが最も深刻で、影響する輸出額は約118億米ドルだと指摘した。韓国開発研究院など、複数のリサーチ機関は、米国とのFTA締結後、韓国の国内総生産(GDP)は5.56%増え、35万人分の雇用機会が生まれると予想している。
台湾は中米の友好国4カ国とFTAを結んでいるが、これらの国々との貿易額は台湾の貿易総額の1%にも満たない。台湾の輸出拡大と投資の増加にとって、これらFTAによる効果はきわめて限られている。また、アジア諸国間でのFTAは58存在するが、中華民国(台湾)と北朝鮮だけが皆無である。アジア諸国とFTAを締結できなければ、台湾の経済は隅に追いやられる恐れがある。
幸い、台湾海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結後、台湾企業の中国大陸向け輸出製品は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の製品と平等な待遇を享受できるようになった。そして、日本や韓国などに比べた場合はよりよい待遇を受けている。また、馬英九総統が言うように、ECFA締結後、世界経済における台湾の役柄はより重要なものへと変わっている。ECFA締結で、従来の緊張した両岸関係による政治的な障害が無くなり、台湾は必要に応じて他の世界貿易機関(WTO)メンバーと経済協力協定締結に向けて正常に話し合えるようになった。経済貿易面で、台湾が世界と協力していくための扉が開けたのだ。
2011年8月1日、台湾とインドの「税関相互支援協定」が発効した。9月22日には日本と、「投資の自由化、促進、保護に関する相互協力のための取り決め」を締結。9月24日にはスロバキアと「租税協定」を結んでいる。シンガポールとは経済パートナーシップ協議の締結について話し合いを進めており、インドネシアやフィリピンとの経済協議の可能性も探られている。これらはECFA締結による効果なのである。
今後、台湾はECFA締結後の、商品貿易、サービス貿易、投資、紛争解決の四大議題ならびに税関と産業面における協力についての話し合いを出来る限り早く完了させねばならない。また、他国とのFTA締結を進めると共に、馬英九総統がすでに環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟意欲を表明しているように、地域の経済的な組織や会議に積極的に参加し、台湾の経済貿易面での活動空間をさらに広げていく必要がある。
米韓FTAの巨大なプレッシャーに向き合い、我々は両岸がようやく手にした平和な時代を大切にしなければならない。内部でのコンセンサスを固め、経済発展に全力で取り組もう。