2025/06/06

Taiwan Today

外交

史跡と歴史的建築物を守り、歴史の輝きを伝えよう

2012/03/26
当時の姿を再現した北投温泉博物館。(台北市文化局の北投温泉博物館サイトより)
台湾には史跡や歴史的建築物が数多く残っている。しかし、都市開発の妨げとなる場合に取り壊されたり、老朽化が進む中で修復が間に合わず荒れ果ててしまうことも少なくない。もし、本来あった場所で保存することが難しければ、解体して移築するのも一つの方法だろう。つまり、適切な立地と計画があってこそ、初めて古い建築物に新たな生命を吹き込むことができるのだ。

史跡の命をつなぎ止めるには、適切な修復を行わなければならない。最良の修復とは、できる限りもとの建材を活かし、当初の工法を用いて、本来の形の上に補修を加え、外観を含め誕生したそのままの姿を保存することである。

1998年10月31日から市民に開放されている台北市の「北投温泉博物館」は、1913年に日本統治時代の台北州庁が、日本の静岡県の伊豆山温泉をまねて建設した「北投温泉公共浴場」を前身だ。北側は日本の神社の荘厳な雰囲気が醸し出されている、台湾で最も有名で、最大規模の公共浴場だ。

元の所在地で現状を保存することができなければ、移築保存、つまり、古い建物を新しい場所に引越しさせることもできる。彰化県花壇郷の「台湾民俗村」はこの方法を採っている。新北投駅や北斗奠安宮、嘉義廖氏診所、麻豆林家邸、鹿港施家邸、斗六「一條龍」、嘉義「一條龍」など、多数の古い建築物を移築したものだ。

この方法を採るのは、日本では「北海道開拓の村」がある。これは野外博物館の形式で、開拓時代の生活や文化、産業、経済、歴史を伝えるもので、北海道100年を記念して1983年に建設された。広い敷地は、市街地群、漁村群、農村群、山村群に分かれ、移転・復元された住宅や学校、工場、商店など貴重な建築物50棟余りを保存している。当時の交通手段だった馬車鉄道や馬ソリ(冬季の雪ソリ)なども運行している。

名古屋の「博物館明治村」も、史跡や歴史的建築物の移築保存の成功例だ。明治村は建築物67件のうち、10件が日本の重要文化財に指定され、うち1件は愛知県の有形文化財に指定されている。さらに、村内の宇治山田郵便局では実際の郵便業務を行っている。

史跡や歴史的建築物は歴史の証人として、移築や現地での保存、どんな形であれ政府自身が、積極的に調査や保存に関する計画・設計、修復・再利用、日常的な管理・保守の制度化に取り組むべきだ。また、地方政府や高等教育機関、民間、地元のコミュニティと、効率的に結びつき、綿密で整備された文化資産の保護ネットワークを形作らねばならない。さらに文化資産が発展できる生態環境を形成するとともに、世界の流れと同調させ国際協力を進め、将来的には文化資産の多様性を保存し、文化継承を促進、共同の記憶を結集させることで、国の文化的なアイデンティティを確立できることを期待する。

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