著名な水質専門家、張大偉教授が水質検査を実施。太平島の淡水の水質が良好であることを確認した。(外交部サイトより)
近年、南シナ海をめぐる主権争いが絶えない。2013年1月、フィリピンは「国連海洋法条約」付属書7を根拠に、中国大陸を相手取り、「領有権」問題に関する仲裁手続きを求めた。そして昨年11月24日から30日まで行われた第二回口頭弁論でフィリピンは事実を歪曲し、法律を曲解して、太平島は「岩礁」であり「島嶼」ではなく、12カイリを超える海洋の権利は無いと主張した。
これに対して行政院(内閣)及び外交部(日本の外務省に相当)はこれまでに発表した複数の声明の中で、歴史、地理、国際法のいずれから見ても、面積0.51平方キロメートルの太平島は南沙諸島において自然に形成された最大の島で、人間の居住が可能である他、独自の経済的生活を維持でき、「国連海洋法条約」第121条の定める「島嶼」に関する要件を満たしているため、中華民国は同条約が太平島に与える領海、接続水域、排他的経済水域(EEZ)、大陸棚などの権利を全て有していると主張した。
昨年12月12日、内政部(日本の省レベルに相当)の陳威仁部長(大臣)は関係省庁の高官を率いて太平島に赴き、灯台と埠頭の供用開始式典を執り行った他、同島にある井戸の水を試飲して水質が良好であることを証明した。また、その日の昼食は同島で原生しているか、もしくは駐在人員が植えた野菜、果物、並びに飼育した家禽を食材としたもので、太平島の自然環境が間違いなく人間の居住及び独自の経済的生活の用に供することができることが示されている。
さらに、より科学的な方法論で太平島が島嶼である事実を証明するため、行政院農業委員会(日本の農水省に相当)は1月22日から23日にかけて、水質、土壌、植生、法律と政治などの専門家による調査団を組織し、同島での自然と農業環境の実地調査に派遣。23日には外交部の林永楽部長(大臣)、行政院大陸委員会の夏立言主任委員(大臣レベル)、行政院環境保護署の魏国彦署長(大臣レベル)の他、陳純一教授、宋燕輝研究員、王冠雄教授、陳荔彤教授、林正義研究員ら国内外の法律と政治の学者、さらにはフィリピンの日刊紙、「Manila Bulletin」のコラムニスト、Jose Zaide氏、米国のシンクタンク、「戦略国際問題研究所(CSIS)」における「アジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)」のGreg Poling主任らからなる視察団を組織し、太平島における井戸、天然の植生、農場、観音堂、住民の遺跡などを視察した。また、太平島に設置されている太陽光発電設備、灯台、埠頭、通信設備、南沙病院などの施設も参観した。
これらの専門家による再度の実地視察後、中華民国政府は、太平島は南沙諸島において自然に形成された最大の島で、人間の居住が可能であるばかりでなく、さらには独自の経済的生活を維持でき、「国連海洋法条約」第121条の定める「島嶼」に関する要件を満たしていると改めて主張した。中華民国政府は、太平島が「島嶼」である事実を断固として守り、それを否定しようとするいかなる主張も太平島の「島嶼」としての地位、並びに同島に「国連海洋法条約」が認める海洋の権利を損なうことは出来ないと主張する。そして、南シナ海における各当事者が現在の緊張した情勢の緩和を望むならば、中華民国政府の提唱する「南シナ海平和イニシアチブ」を参考に、「主権は分割できないが、資源は共有可能である」ことを原則とし、平和的な対話を通じて争いを解決し、南シナ海を「平和と協力の海」へと変えられるよう共同で努力するべきだとしている。