蔡英文総統は13日午前、台湾北東部・宜蘭県にある国軍の部隊を訪れた。また、駆逐艦「基隆」(DDG-1801)に乗り込み、海軍による演習の一部始終を洋上視察し、主要港湾の防衛能力や迅速な対応能力、それに国土防衛のための戦備状況などについて理解を深めた。
蔡総統が前回、蘇澳軍港(宜蘭県蘇澳鎮)を訪れたのは2016年6月4日のこと。蔡総統は当時、高い戦力を持つ新たな海軍の構築と、艦艇の自主建造を進める「国艦国造政策」の推進を宣言した。蔡総統は今回、演習終了後にメディアの取材に応じ、「今日再度ここへやって来て、国軍のこれまでの訓練の成果を視察した。士官や兵士らのスピーディーな反応と臨機応変な演習を見た。「非対称作戦」に対応可能な戦力と特質を確認し、胸をなでおろした。この2年間で『国艦国造政策』、特に潜水艦の自主建造については大きな進展があり、我々を勇気づけるものとなっている」とし、「国艦国造政策」の成功に自信を深めたことを明らかにした。
蔡総統はまた、「今日の演習は、陸空海のいずれにおいても、軍事戦略における『防衛固守、重層嚇阻(強固な防衛、多重の威嚇)』につながる戦力を持つことを見せつけるものだった。特に制海能力を示すパフォーマンスには強い印象を受けた。軍種を越えたこうした演習は、国軍の戦力、国防への決意や能力などに対する国民の信頼を深めることになるだろう」と評価した。
中国大陸当局が近く台湾海峡水域で実弾演習を予定していることについては、「定期演習の一つだ。台湾の国防組織は相手の動きを把握し、且つさまざまな準備を整えている」と指摘した上で、「自分は国軍に信頼を寄せており、(中国大陸当局の軍事演習の動きが)外遊日程に影響を及ぼすことはない」と断言した。
また、今回の軍事演習視察は、中国大陸「国家主席」の習近平氏がこのほど南シナ海で観艦式に出席したことへの「対抗」かと尋ねられた蔡総統は、「過度な解釈はしないで欲しい」と否定した上で、「国軍の任務は年中無休で、いつでも戦闘準備を整え、国家の安全を守らなくてはならない。今日、蘇澳軍港で海軍を視察したのは、軍備についての理解を深めるためだ。1度の視察ではなく、一連の軍事視察の始まりだ。今後も適切な時期に国軍の各部隊を訪れ、視察を行う考えだ」と説明した。