台湾の政府は2016年より、中華民国(台湾)への帰化に関する規制緩和と、外国人に対する新たなサービスの提供を強化している。2016年12月21日の改正『国籍法』の公布に伴い、8項目の関連法が改正された。
規制緩和によって、外国人配偶者の帰化に財力証明の提出の義務がなくなったほか、家庭内暴力が理由で離婚したり、台湾人配偶者と死別した、あるは離婚後も未成年子女を育てたりする必要のある外国人配偶者などにも、帰化の門戸が開かれた。
この規制緩和によって中華民国国籍を取得した外国人配偶者は502名に上る。そのうち137名は家庭内暴力を理由に離婚した外国人配偶者と、台湾人配偶者と死別した外国人配偶者。残り365名は、離婚後も中華民国籍の未成年子女を育てる外国人配偶者。
2016年末の『国籍法』改正で、中華民国に対して特殊な貢献がある外国人や、高度な専門能力を持つ外国人の帰化条件も緩和された。これは、もとの国籍を放棄せずに中華民国籍を取得することを認めるというもの。現在までに合計133名がこの制度を利用して中華民国籍を取得。そのうち、特殊な貢献が認められて中華民国籍を取得した外国人は57名、高度な専門能力が認められて中華民国籍を取得した外国人は76名となっている。
なお、内政部は2018年10月1日より、外国人に対するサービスを改善するため、外国人による帰化申請とその後の居留証や定居証の発行申請、戸籍の開設などを各地域の戸政事務所(=戸籍事務を処理する機関)で一括して行うことができるワンストップ型のサービスを展開している。これにより、帰化申請を行う外国人は、戸政事務所と移民署(日本の入国管理局に相当)服務站(サービスステーション)を何度も往復する必要がなくなっている。
このほか、高度人材・高度専門職の外国人に対して発給する特殊な永久居留証「梅の花カード」を持つ外国人の帰化申請についても、内政部は現在、関連機関に対して審議会による審査を省略し、推薦制度に変更することに同意するか否かを打診している。これが実現すれば、「梅の花カード」を持つ高度人材の中華民国籍取得の手続きが大幅に短縮されることになる。また、各機関が持つデータの統合により、戸政事務所が関連のデータを横断検索できるようになっており、帰化申請を行う外国人は、以前のように財力証明、居留証明、中国語の語学力証明などを提出する必要がなくなっている。