2025/05/06

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政治

危険な海・山レジャーでの事故、国家賠償免除が可決

2019/12/04
立法院は3日、国家賠償法一部条文改正案を可決し、危険を伴う海や山でのレジャーにおける遭難・事故に対する政府の賠償責任を減免するとした。政府は、自然に親しむ環境づくりを重視するとしながらも、「自己責任」意識を持つよう呼びかける。(自由時報)
立法院(国会)は3日、国家賠償法一部条文改正案を可決した。これにより今後は、政府があらかじめ危険を告知した山・海での活動において生じた損害について、政府の賠償責任が減免されることとなった。例えば、台風の日に登山や海の様子を見に行った際に事故が生じた場合、政府は賠償責任を負う必要がない。
 
行政院(内閣)は10月21日、山林政策を見直し、制限のあった登山を開放する方針を発表した。政府は、市民が山林に親しむ環境づくりを目指すとともに、「自己管理、自己責任」の意識を持つよう奨励している。行政院は同24日、国家賠償法一部条文改正案を閣議決定し、立法院に提出した。市民の自己責任原則が確立できるよう期待が持たれる。
 
国家賠償法3条の条文では、公共施設において、設備や管理の不足によって、生命、身体、個人の自由あるいは財産に損害が生じた場合、政府が損害賠償責任を負うことが規定されている。また、このような公共施設が管理を民間団体や個人に委託していた場合でも、同様のケースが生じた場合、政府が損害賠償責任を負うとされている。
 
今回、立法院が可決した改正案では、山や海などの自然公物において、管理機関や管理を委託されている民間団体や個人が、適切な警告や表示を発信しているにもかかわらず、市民が危険を伴う活動を行った場合、政府の賠償責任はないものとされた。そのほか、自然公物に設置されている施設における同様のケースは、政府の賠償責任が軽減され、または減免されることとなっている。
 
条文でうたわれている警告について、法務部(日本の法務省に相当)の陳明堂政務次長(副大臣)は、「警告は標識とは限らない。場所によっては標識をたてることで、景観を損ねることがあるので、インターネットサイトでの告知や山友協会、内政部営建署(日本の国土交通省に類似)、国家公園管理処によって通知が行われている。必要があれば自身で確認できる」と説明した。
 
陳明堂政務次長はさらに、「政府の賠償責任が免除される自然公物とは、山林や海などで、危険性があることが警告されていた場所では、政府が賠償の責任を負う必要はない。例えば、台風の日に登山や魚釣りなどで海に出かけて、遭難や事故などが起きても、政府は賠償責任の必要がない。また、自然公物に設置された施設とは、渓谷にかかる吊橋などを指す。台風や大雨によって破損し、天候や地形、材料不足などによって修復が完了していないことを政府が警告していれば、たとえ事故が発生しても、政府の賠償責任は軽減され、または減免されるが、賠償については個々の事情に即して決定される」と強調した。

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