法務部(日本の法務省に相当)は27日、私立高雄医学大学(台湾南部・高雄市)が設置した法医部門に法医学医育成の専門訓練を委託することを明らかにした。法医学医の育成を強化し、司法解剖の質と効率を高めるのが狙い。台湾初の女性法医学医として20年以上のキャリアを持つ尹莘玲医師が協力する。
法務部のニュースリリースによると、今回の協力が実現したのは、法務部の蔡清祥部長(=大臣)が私立高雄医学大学の陳建志董事長に法医学医の人材育成について説明したのがきっかけ。人材不足の解消と、司法解剖の質と効率を高めるため、私立高雄医学大学に協力を仰いだ。その後、法務部法医研究所、高雄及び橋頭の地検署(=地方検察庁)、私立高雄医学大学附設中和紀念医院(=病院)の協力を得て、27日に協定書の調印記者会見を開催するに至った。
蔡清祥部長は挨拶の中で、「私立高雄医学大学が法医部門を設置して法医鑑定業務と専門訓練に協力することは、台湾の法医制度における非常に重要なマイルストーンとなる。医療機関は豊富な医療資源と臨床の専門医を抱えており、これらが法医鑑定業務の質を効果的に引き上げることになるからだ」と述べた。
蔡清祥部長はまた、「私立高雄医学大学の法医部門が法医学医の育成を行うことで、台湾の医師は今後、アメリカで法医学の専門訓練を受ける必要がなくなる。また、わざわざ台北市まで出向いて国立台湾大学法医学研究所(=法医学の大学院)に入る必要もなくなる。近くの病院が設置する法医部門で訓練を受けることが可能になれば、法医学のトレーニングを受けようとする医師の意欲も高まり、台湾でより多くの優秀な法医学医を育成できるようになるだろう」と期待を寄せた。
私立高雄医学大学の侯明鋒院長は、「法務部と衛生福利部(日本の厚労省に類似)は法医の仕事を重視している。死因を明らかにする必要のある死者のため、私立高雄医学大学は社会的責任を果たし、法務部に協力して法医鑑定業務と法医学医の育成に当たりたい。現在、病理専門医2名が育成に参加する意思を示している。法医学医として長いキャリアを持つ尹莘玲医師が、法医鑑定業務と専門のトレーニングの責任を持つことになる」と説明した。
尹莘玲医師は、「法医学医は深刻な人材不足に直面している。法医学医を育成するという理念で法務部に協力することで、今後より多くの臨床医が法医を目指すよう期待している。また、多くの大学病院が法医部門を設置するよう期待している。病院は生きている人々の健康を守るだけでなく、亡くなった方の死因判定の役に立つことで、本当の意味ですべての人々の福祉に貢献することができるからだ」と述べた。