欧州議会の最大会派、欧州人民党グループ(EPP Group)が9月28日、公式ウェブサイトで同グループの欧州・中国関係に対する立場を示す初めての文書「EPP Position Paper: EU-China Relations in a COVID-19 World and Beyond」を発表した。同グループはこの文書の中で、中国が台湾に対する軍事的脅威を強めていることを非難すると共に台湾の世界保健機関(WHO)参与を支持する立場を表明、同時に台湾をはじめとする「価値」で結ばれるパートナーとの協力関係を強化していくよう呼びかけた。
中華民国外交部(日本の外務省に相当)は、「中国の軍用機が中華民国(台湾)の空域を度々侵犯し、さらには『台湾海峡に中間線は無い』と主張するなどの挑発行為に対し、欧州議会で200議席近い勢力を持つ欧州人民党グループが具体的な行動で台湾への支持を示したものだ」としてこれを歓迎すると共に心からの謝意を表した。
欧州人民党グループによる文書ではまた、中国政府が新型コロナウイルスの発生を隠ぺいし、欧州にフェイクニュースを散布したと非難すると共に、中国政府が香港やチベット、新疆ウイグル自治区で人権と自由を傷つけていることに関心を寄せた。さらに南シナ海における中国の継続的な軍事力拡大、ならびに欧州連合(EU)の利益に対する脅しにも関心を示し、EUが台湾、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなど「価値」で結ばれるアジアのパートナーたちと協力関係を強めることを全力で支持すると表明した。このほか同文書では、中国の政府関係者が自由で民主的な台湾を支持した欧州のリーダーを脅す発言を行ったことを批判。これにはチェコの上院議長が台湾を訪問したことも含まれるとした。
外交部は、台湾海峡の平和と安定はこの地域における各方面の利益に関わるもので、このところ北京当局が台湾海峡の現状変更を狙って行っている挑発行為はすでに国際社会全体の関心を呼んでいると改めて指摘、その上で、中華民国政府は今後も近い理念を持つパートナーと協力し、台湾海峡と地域の平和、安定、繁栄を守っていくと強調した。