内政部(内政を担当する中央省庁)は2021年1月1日より、空港及び港湾の出入国審査窓口で旅券(パスポート)の査証欄に押す出入国証印を刷新する。現行の証印は2013年から使用されている。密入国や人身売買のブローカーによる偽造を防ぎ、証印の品質向上を目指すため、刷新を決めた。台湾の出入国証印には、空港からの入境(=入国の意味)、出境(=出国の意味)、90日ノービザでの入境、30日ノービザでの入境、港湾からの入境、出境、90日ノービザでの入境、30日ノービザでの入境と、空港と港湾で各4種類ある。
新たな出入国証印は、「枠から飛び出す」というコンセプトを取り入れたもので、証印の外枠から台湾本島の地図が突き出たようなデザインになっている。これは、外交上の枠組み(制限)を突破するという台湾の決意を示すもの。また、入境の「境」の土偏(つちへん)の右下には、よく見ると一つ点がついている。これは「多一点」、つまり「点が一つ多い」と「もう少し多く」という二重の意味を込めたもので、新型コロナウイルス収束後、少しでも多くの観光客が台湾を訪れ、海外旅行や世界経済が一日も早く正常を取り戻せるようにとの願いが込められている。なお、「中華民国」、「入境」、「出境」の8文字は、2012年度行政院文化奨(=賞)を受賞した女流書道家・董陽孜さんの揮毫によるもの。
内政部によると、この新たな証印は、内政部移民署国境事務大隊が第一線で活躍する優秀な入国審査官から成るチームを結成してデザインさせた。チームのメンバーたちが趣向を凝らし、台湾のイメージを盛り込んだ新たな証印のデザインを考え、従来の梅の花(中華民国の国花)をコンセプトにした証印に取って代わるデザインを考え付いた。例えば台湾本島の地図を模したデザインの中には、国名コードであるTWNの文字が隠されている。この文字は字体に芸術性と美的センスを感じるだけでなく、台湾の特徴である中央山脈の重なる山々のようにも見え、デザインに立体感を添えている。
また、「枠から飛び出す」というコンセプトを表現するため、台湾本島の地図と中国語の文字は枠からややはみ出したデザインになっている。こちらも芸術性と美的センスを備えているだけでなく、外交上の制限を突破しようという台湾の決意を示すものとなっている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)に歯止めがかからない中、実際の行動によって台湾のプレゼンスを国際社会に示すという台湾の姿勢を感じることができる。