蔡英文総統が8日午前、「台湾証券交易所(TWSE)」(以下、「台湾証券取引所」)を視察した。蔡総統は、昨年全国民が団結して新型コロナウイルス対策に努めたことで台湾経済は逆風の中でもプラス成長を実現し、台湾株式は株価と取引量のいずれにおいても上昇したと述べてこれを歓迎。そして、ポストコロナ時代に台湾が引き続き全世界のサプライチェーンにおけるキー的な地位を保ち、「ハイエンドの製造・ハイテク研究開発・先進的な半導体製造工程・グリーンエネルギー発展」の四つのセンターに成長出来るよう政府が支えていく必要性を指摘すると共に、みなでより公平かつ持続可能な台湾を築き上げられるよう希望した。
蔡総統は視察に際してのあいさつの中で、「昨年の台湾株式のパフォーマンスは『価量斉揚』(株価と取引量がそろって上昇・増加すること)だったと言える」と述べ、平均株価指数が史上最高値を更新したこと、上場企業(店頭公開も含む)が1,700社を超えたこと、時価総額が49兆台湾元(約181兆日本円)に到達したことを挙げて、資本市場での資金調達と株式流通の機能が十分に発揮されたとの見方を示した。
蔡総統はまた、今年に入ってからも活発な取引が続き、売買金額も平均で1日3,000億台湾元(約1兆1,000億日本円)以上であることを指摘、投資家と企業、政府の税収の三者が全て「勝者」になったと歓迎した。特に税収については、昨年の「証券交易税」(証券取引税)が1,500億台湾元(約5,545億日本円)あまりに増加、過去最多を更新するなど国家全体の歳入に大きく貢献したと評価した。
台湾証券取引所は今年で創設60年。蔡総統はこれについて、過去60年来、同取引所は台湾経済の成果を見届けてきたと同時に台湾の企業を支える重要な力であり続けたと称えた。
そして蔡総統は、金融監督管理委員会(日本の省レベル)が3カ年計画の「資本市場青写真」により、公平かつ能率的、革新的かつ開放的、そして国際化した資本市場の確立に取り組んでいることに言及。そのうち「グリーン金融2.0」政策の部分で政府は、投資家が企業のESG(環境・社会・ガバナンス)面での実績をより重視するよう促していくことを説明した。蔡総統は、金融監督管理委員会と株式に関わる部署に対し、企業がコーポレートガバナンスを強化するよう引き続き働きかけて個人投資家たちの権益を保障すると同時に資本市場の安定した成長を維持するよう求めた。