科技部(日本の省レベル)が作成した「太空発展法」(宇宙発展法)草案が2月18日の行政院会(閣議)で決定され、立法院(国会)での審議に送られることになった。蘇貞昌行政院長(首相)は、台湾には極めて高い科学技術力があり、人工衛星や観測ロケットを製造出来るほか人工衛星の初歩的な産業チェーンも整っていると指摘、半導体や情報通信技術、精密機械などの産業が一丸となることで宇宙での全く新しい分野を切り開き、他に先んじることが出来れば、「『台湾の国力を宇宙に打ち上げること』は夢ではなく、それは将来実現可能な美しい風景になる」と述べた。
蘇行政院長は、宇宙産業が蔡英文総統の打ち出した「六大核心戦略産業」の一つであることに触れた上で、蔡総統が17日に開いた国家安全朝食会でも特に関心を寄せる姿が見られたと明かした。蘇行政院長によれば、政府は近年宇宙分野の発展に力を入れており、台湾にはすでに人工衛星や観測ロケットを独自に製造する力があるほか、民間でも宇宙の商業利用を目指す企業が複数生まれるなど、人工衛星に関する初歩的な産業チェーンが徐々に整いつつあるという。
蘇行政院長は、すでに決定されている250億台湾元(約934億日本円)規模の「国家太空計画」(国家宇宙計画)で人工衛星産業への支援、ならびに宇宙科学技術の人材育成を進めていくほか、18日に閣議決定した「太空発展法」草案では専門の法人が責任を負う形で宇宙産業の発展業務を推進できるよう定めていると指摘。こうして予算と法律、人材と産業チェーン、推進団体が徐々にそろっていく中で、科技部、経済部(日本の経産省に相当)、交通部(日本の国交省に類似)、国防部(日本の防衛省に相当)など各主務官庁には、積極的に協力して宇宙経済を生み出し、台湾経済を守る新たな「護国群山」(国を守る山々)を築くよう求めた。そして1日も早く、国産の人工衛星を台湾製のロケットに載せて打ち上げ、未来の国民が勇気をもって夢を追いかけ、実践に努められるよう鼓舞しようと呼びかけた。