蔡英文総統は22日午後、教育部(=日本の文部科学省に類似)が主催する第24回「国家講座主持人(National Chair Professorships)」、第3回「国家産学大師奨(National Master Award)」、第64回「学術奨(Academic Awards)」の授与式にプレゼンターとして出席した。蔡総統は、各賞の受賞者がそれぞれ得意とする分野で卓越した貢献を行い、台湾のために多くの優れた人材を育成していることを称え、そして感謝した。
昨年の第23回「国家講座主持人」、第2回「国家産学大師奨」、第63回「学術奨」はコロナ禍のため昨年6月に授賞式が行われた。蔡総統は「昨年6月に行なわれた授賞式に参加したときは、台湾が新型コロナウイルスの封じ込めに成功し、感染症予防のための規制措置を緩め、『防疫新生活(=新型コロナウイルスを想定した新たな生活様式)』を打ち出したばかりだった。そして現在台湾は『ワクチン接種』のステージに入った。海外製ワクチンを購入すると同時に、国内でも2つの業者が国産ワクチン開発に向けて第2相試験(フェーズ2)を行っているところだ」と述べた。
蔡総統はこの一年余りを振り返り、「新型コロナウイルスの感染拡大からワクチン開発に至るまで、研究者たちの重要性と世界に対する貢献を、きっと誰もが実感したことだろう。今年の受賞者たちもそれぞれ得意とする分野で重要な役割を果たしている。例えば今年で2回目の『国家講座主持人』受賞となる中央研究院の江安世院士(=院士とはフェローのこと)や国立台湾科技大学の黄炳照教授は、それぞれ脳科学、グリーンエネルギー産業の分野で優れた研究を行い、台湾の同分野の発展に寄与している」と述べた。
蔡総統はまた、こうした研究者たちが優れた研究を行うと同時に、台湾のために優れた人材を多数育成していることにも感謝した。そして、こうした努力が将来の学生たちにも影響を与え、台湾の競争力強化につながるよう期待していると述べた。
蔡総統は続けて、企業により多くの資源を導入し、教育機関が研究・開発にかけるエネルギーを拡大するため、教育部が産学連携を促進するために作成した「国家重点領域産学合作及人才培育創新条例」の草案が立法院(=国会)に提出され、現在審議を受けていることを明らかにした。蔡総統は「政府としては規制を適度に緩和することで、産学間に長期的協力関係の構築が可能な環境を提供し、国が重点領域と見なす分野が必要とする人材を安定育成し、学術研究の成果がより産業の発展に直結するようにしたい」との考えを示した。
蔡総統は最後に、「学術研究が何代もたすきをつないでいけるようにするだけでなく、その成果が産業の発展により直結できるようにしたい。それにより若い世代の収入を増やすような仕事をより多く提供し、次世代もその次の世代も、産業発展の果実を享受できるようにしたい」と抱負を述べた。