新型コロナウイルスの台湾における感染状況が今年5月、一時的に社会を緊張させる中、衛生福利部(日本の厚労省に類似)中央健康保険署(健保署)は個人向けオンライン健康管理システム「健康存摺(My Health Bank)」の機能を再び強化し、5月6日からは市民が自分で新型コロナの簡易検査及びPCR検査の結果を確認出来るようにして自治体の衛生担当部署の負担を軽減した。また、衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)の持つ新型コロナワクチンの接種データも「健康存摺」の「予防接種資料」に組み入れた。この2種類の新たな情報は7月9日から「新型コロナワクチン接種/ウイルス検査結果」として一つに統合されている。
さらに7月6日からはオードリー・タン(唐鳳)政務委員(=無任所大臣)主導の「新型コロナワクチン公費接種予約システム」も導入、市民が「全民健保行動快易通」アプリの「健康存摺」でワクチン接種の意志表示とその予約を行えるようにした。「全民健保行動快易通」アプリはこれまでも市民の健康管理で大きな機能を発揮してきたが、新型コロナ対策でも大きく役立ち再びその名をとどろかせている。同アプリは今年6月までで延べ1,143万回ダウンロードされており、「健康存摺」の利用者は7月13日に600万人を突破した。
中央健康保険署の李伯璋署長によると、「健康存摺」は2014年の運用開始以来、絶えず機能を強化し続けており、特に2018年5月に五大電信キャリアの携帯電話の簡易認証機能を追加したことでオンラインでの身分証明をより簡単にしたことが大きかった。その後コロナ対策のニーズに応じ、昨年2月には中央政府の政策に合わせてマスクの実名制予約購入システム2.0を追加、市民がこのアプリを通じて公平かつ手軽にマスクを予約購入出来るようにすると、「健康存摺」の登録者は2カ月で300万人急増した。
テクノロジーを用いた感染対策を支える様々な機能のほか、利用者は「健康存摺」を通じて自身の受診記録や処方された薬の状況、検査などのデータを確認することが出来る。さらに「家族管理」の機能では家庭内の高齢者や子どもの健康に関する情報を把握することも可能で、家族の健康に関心を寄せるためのプラットフォームにもなっている。
中央健康保険署は、これからも健康保険から得られるビッグデータと科学技術を活用してより便利かつ高品質な健康サービスの開発に努め、医療資源を合理的に分配することで健康保険の持続可能な運営を実現するとしている。