財団法人農業保険基金が11日、運営を開始した。「農業保険法」は2020年5月12日に立法院(国会)で可決成立、同月27日に蔡英文総統が公布した。同法では担当省庁がリスク分散と管理のメカニズムを構築し、財団法人農業保険基金を創設してそれを執行させるよう定めている。
農業保険基金会のプレート(看板)除幕式は11日に行われ、式典には行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)の陳吉仲主任委員(大臣)、陳添寿副主任委員、同委員会農業金融局の李聡勇局長らが出席した。農業保険は農業生産や農業設備が自然災害や病気、その他のアクシデントなどによって損害を被った場合にそれを補償する保険のこと。陳吉仲主任委員は、極端気象が農業にもたらす影響がますます深刻化する中、様々な対応戦略はあるものの農業保険こそが最も重要なツールであり、それによって農家の収入を安定させることが可能になると強調した。
現在、農業保険は農産物の種類などに応じて25種類(果樹類14、イネ、農業施設、養蜂業、漁業5、牧畜業3)設けられており、保険内容によって38種類の保険がある。保険タイプは商業型保険(保険者は保険会社)と政策型保険(保険者は政府)に分かれ、政策型保険は農業保険基金がリスクを100%引き受ける。商業型保険は80%。陳主任委員が例を挙げて説明したところによると、過去の視察では「二、三分」(一分は293.4坪で、約587坪から880坪)の土地でスイカを生産すれば数十万台湾元(十万台湾元は約39万日本円)の収入が見込めたところ、豪雨に一度見舞われるだけで数万台湾元(1万台湾元は約3万9,000日本円)の救済金しか残らないケースがあった。農家をこうした「お天気次第の生活」から脱却させるためには大規模な農業保険を実施する必要があった。
陳主任委員によると、農業保険のカバー率(加入率)は2017年度の約5.8%から2020年には9.6%まで向上。そして今年5月、ブタの死亡保険強制加入措置を進めたところカバー率は23.3%まで高まった。来年、イネの収入保険を全面的に実施すればカバー率は40%に上昇し、日本に肩を並べられるということ。