中央感染症指揮センター(新型コロナウイルス対策本部)は11日、台湾で新型コロナウイルスの感染が拡大しており、市中の感染リスクが高まっていることを踏まえ、米製薬大手ファイザー社と新型コロナウイルス感染症経口薬(飲み薬)「パクスロビド(Paxlovid)」70万人分の供給契約を結んだことを明らかにした。患者が持つ治療の権利を保障し、新型コロナウイルスの感染拡大が台湾の医療に与える負荷を軽減するのが狙い。中央感染症指揮センターは10日にファイザー社と契約を結んだ。そのうち半分に当たる35万人分については、今年第2四半期内に届く予定だ。
中央感染症指揮センターは、経口薬が注射型治療薬に比べて使用に便利であることや、台湾が実施を目指す軽症者と重症者の分離や自宅療養への移行といった防疫モデルのニーズに合致することを考慮し、先進諸国の備蓄状況を参考にした上で、台湾の総人口の3%に当たる70万人分の供給契約を結ぶことを決めた。そのうち35万人分は今年第2四半期内に届き、残り35万人分は暫定契約となる。すでに注文している2万人分については、残り15,200人分がまだ到着していないものの、中央感染症指揮センターがすでに交渉を行っており、予定を前倒しして到着するよう手配しているという。
パクスロビドはすでに、イギリスや欧州連合(EU)の衛生当局、米食品医薬品局(FDA)など多くに国で緊急使用許可(EUA)を取得している。軽度~中程度の新型コロナウイルス感染者で、既往症などがあり重症化リスクの高い人が対象となる。衛生福利部食品薬物管理署(=台湾FDA)も今年1月、薬事法第48条之2の規定に基づき、輸入の許可を決定した。発症して5日以内に服用することで、重症化して入院に至るリスクを軽減することができるとされている。