蔡英文総統がこのほど、ローマ教皇フランシスコが先ごろ発表した第56回「世界平和の日」教皇メッセージ(2023年1月1日)に呼応して教皇フランシスコに書簡を送った。以下、書簡の内容要約。
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第56回「世界平和の日」教皇メッセージは、「戦争とは未だワクチンの無いウイルスである」と強調し、戦乱と新型コロナウイルスによってひどく打ち壊された世界を心を一つに協力して「治癒」するよう、そして移民にやさしい適切な政策を定めるよう呼びかけた。我々はこれに深く同意する。
昨年2月にウクライナとロシアとの戦争が勃発し、人々は平和のありがたさを身にしみて感じることとなった。また、地域の安全保障が各国の指導者たちにとって重要なコンセンサスの一つとなった。戦争の無情を台湾の人々は同じように深く感じており、昨年3月には民間が3,000万米ドルを超える寄付を自発的に行い、650トンに及ぶ支援物資も集めてウクライナの数百万人とされる難民を助けた。
教皇メッセージが示すように、過去3年間のコロナ禍は「自分の力だけで自分を救える者などいない」という教訓をもたらした。ウイルスは国境を越えて広がる。健康は普遍的な人権であり、人種や宗教、政治、経済など、どのような要素の影響があろうが剥奪されるべきではない。
台湾は1995年に「全民健康保険」(台湾の国民皆保険制度)をスタートさせた。全ての国民が平等に医療を受ける権利を持っている。台湾はまた自らの力で世界に積極的に貢献しており、サージカルマスクや防護具の寄付、貧困でよりどころの無い人々に対する物資の提供などに取り組んできた。我々は台湾を「強靭な島」にしようと努力しており、世界により素晴らしい台湾を届けたいと思っている。
気候変動は全世界が直面するもう一つの厳しい挑戦である。台湾は「2050年のカーボンニュートラル実現」の目標に向けて引き続きまい進するほか、バチカンと協力してスマート農業・野菜、太陽光発電システム、電気自動車など様々な環境保護のプロジェクトを広めていく。
台湾の「新住民」(台湾の人と結婚するなどして台湾に定住した外国籍、中国籍の人を指す)とその子女はすでに100万人を超えた。こうした移民を対象にした政策は包摂的なもので、異なるエスニックグループを尊重するものだ。政府は教育を通じて「新住民」が社会に溶け込めるよう協力しているほか、様々なイベントを実施して「新住民」文化の伝承に取り組み、ローマ教皇の移民に対する重視に呼応している。
光は闇の中で輝くのであり、闇が光に勝ったことはない。未来において台湾は「世界の光」となり、バチカンと手を取り合って前進し、絶え間なく協力し、より公正で平和な人類社会の実現に向けて努力出来るよう願っている。