台湾の先住民族政策を担う省庁、原住民族委員会が財団法人原住民族文化事業基金会と原住民族語言研究発展基金会に17億台湾元(約76億日本円)を寄付し、「台湾高速鉄道桃園駅特定区」(通称:青埔高鉄特定区)内に「原住民族語言伝播大楼」(=先住民族言語伝播ビル)を建設している。28日午後には行政院(内閣)の鄭文燦副院長(=副首相)、原住民族委員会の夷将‧拔路児(Icyang‧Parod)主任委員(=大臣)、桃園市の張善政市長が共同で上棟式を執り行った。
行政院の鄭副院長は、「台湾高速鉄道桃園駅特定区」内に計画されている「原住民族園区」(先住民族パーク)のうち、1期工事の「陽光劇場」(陽光シアター)と2期工事の「文創園区」(文化クリエイティブパーク)はすでに完成しており、現在建設中の「原住民族語言伝播大楼」は3期工事に当たると説明。完成後は原住民族文化事業基金会と原住民族語言研究発展基金会が入居するほか、行政院も資金を投じて原住民族電視台(Taiwan Indigenous TV 原住民族テレビ)の設備を整備し、同ビルを先住民族の文化とクリエイティビティ、ならびに映像作家を生み出す「揺りかご」にすると強調した。
「原住民族語言伝播大楼」は2021年12月27日に着工。建築面積約4万3,000平方メートルで、地下2階、地上4階建て。ビルには撮影スタジオ、ニューススタジオ、生配信スタジオ、録音室、オフィス、会議室が設けられるほか、自動車120台、オートバイ111台が停められる駐車スペースも併設される。窯焼きタイルやテラゾー、先住民族のトーテム、木や竹などを建材に用い、吹き抜けの中庭と室内の作業スペースが交錯するデザインと合わせてビル全体に先住民族文化の特色を醸し出す。
原住民族委員会の夷将‧拔路児主任委員は、「原住民族語言伝播大楼」は2025年下半期に供用開始の予定で、原住民族文化事業基金会と原住民族語言研究発展基金会の新たな本部になると指摘。両基金会は言語やメディアの面で協力し、引き続き先住民族メディアとしての視点の強化に努め、全世界が台湾の先住民族に関心を持てるようにしていくと説明した。桃園市の張善政市長も、同ビル落成後、「原住民族園区」はその特色をいっそう深めることになると述べ、台湾における先住民族文化推進のための重要な拠点になることに期待した。