2025/05/07

Taiwan Today

政治

228事件の舞台の一つとなった行政院、「不義遺址」の銘板設置

2024/02/27
中華民国における最高行政機関である行政院(台北市中正区忠孝東路1段1号)の一角に26日、「不義遺址(権威主義体制の下、228事件あるいは白色テロ時代に人民の権利に対する侵害が行われた場所のこと。人権の歴史を記念する遺構)」の銘板が設置された。(行政院)
中華民国における最高行政機関である行政院(台北市中正区忠孝東路1段1号)の一角に26日、「不義遺址(権威主義体制の下、228事件あるいは白色テロ時代に人民の権利に対する侵害が行われた場所のこと。人権の歴史を記念する遺構)」の銘板が設置された。
 
行政院が入る建物は日本統治時代の1940年に竣工し、当初は台北市役所として使われていた。戦後は国民政府が接収し、台湾省行政長官公署が入った。1947年2月27日にタバコ売りの女性と密売取締員による衝突が発生し、無辜の市民が流れ弾に当たって死んだ。これに激怒した市民らが翌28日、抗議のため台湾省行政長官公署に集まったところ、衛兵が機関銃を掃射し、多くの死傷者が出た。これをきっかけに社会の不満が一気に噴出し、台湾各地で市民が蜂起する事態となった。これが政府による大量虐殺を招き、多くの人が犠牲となった。この一連の事件を「228事件」と呼ぶ。行政院は、「228事件」の舞台の一つであることから、2022年に「不義遺址」に指定されていた。
 
26日に行われた「不義遺址」の銘板除幕式には、行政院の陳建仁院長(=首相)、鄭文燦副院長(=副首相)、監察院の陳菊院長らが出席した。
 
陳建仁院長は、台湾における移行期正義の取り組みは、法制面では「政党及其附隨組織不当取得財産処理条例」、「促進転型正義条例」、「国家人権博物館組織法」、「政治档案条例」、「国家機密保護法修正案」などが順次制定されたほか、政策面で「促進転型正義委員会(=移行期正義促進委員会)」がまとめた任務報告をたたき台として、さらに移行期正義を進めているほか、「促進転型正義委員会」の解散後はその業務を行政院が設立した「転型正義会報」が引き継ぎ、行政院長が「召集人」(責任者)となって各省庁を取りまとめて業務を遂行していると説明した。
 
「促進転型正義委員会」が指定した「不義遺址」は台湾全土に42か所あり、それ以外にまだ64か所の「潜在的不義遺址」がある。陳建仁院長は、一日も早くすべての「不義遺址」にその銘板が設置されるよう期待していると述べた上で、「不義遺址」を保存する目的は、後世の人々が歴史の現場に足を運んだときに、共通の記憶を持てるようにするためだと指摘。民主主義や自由が非常に得難いものであることを常に思い出せるよう、系統立って「不義遺址」を保存する必要があると説明した。
 

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