蔡英文総統は21日、5月19日を「白色恐怖記憶日(=白色テロ記憶日)」とすることを提唱する「519白色恐怖記憶日」籌備委員会(=準備委員会)一行の表敬訪問を受けた。蔡総統は、「『白色テロ記憶日』制定の提唱は、記憶したり、思いを寄せたりするだけでなく、次世代の人々に権威統治が行われていたという歴史を銘記させるものであり、権威主義と戦った先人たちの奮闘の精神を、これからも継承していくよう我々に再確認させるものでもある」と述べ、『紀念日及節日実施弁法』に基づいて制定の是非を検討するよう行政部門に指示することを約束した。また、「今後も白色テロの経験者たちから貴重な意見を提供してもらい、より良い、より団結した台湾社会を作るため、ともに努力していきたい」と述べた。
台湾では戦後まもない1947年2月28日に二・二八事件が勃発した。最初はタバコ売りの女性と密売取締員による衝突だったが、これをきっかけに社会の不満が一気に噴出。台湾各地で市民が蜂起する事態となった。これが政府による大量虐殺を招き、多くの人が犠牲となった。さらに政府は1949年5月19日に「戒厳令」を発し、翌日から台湾全土が戒厳体制に入った。政治活動や言論の自由が厳しく制限され、戒厳令解除(1987年)までの期間、反政府勢力とみなされた人々が投獄・処刑された。この期間に行われた国家暴力を「白色テロ」と呼ぶ。
5月19日を「白色テロ記憶日」に制定することを提唱しているのは新台湾和平基金会、政治受難者関懐協会、白色テロ被害者やその家族、学者・専門家など520名を超える人々。この日は新台湾和平基金会の王美琇董事長が、白色テロ被害者の蔡寛裕さん、陳列さん、呂昱さんらとともに、国家人権委員会の陳菊主任委員や内政部の林右昌部長に伴われ、蔡英文総統を表敬訪問した。