陳建仁行政院長(=首相)が1日、教育部(日本の文部科学省に類似)の潘文忠部長(=大臣)、行政院(内閣)の林子倫報道官、台湾北西部・苗栗県の鍾東錦県長(=県知事)らと共に苗栗県頭份市后庄の非営利「幼児園」を視察し、「将来を見据えたインフラ建設経費による「公共化幼児園」整備の推進状況を確認した。「幼児園」は託児所と幼稚園を統合した名称。また、「公共化幼児園」とは非営利の「幼児園」と公立の「幼児園」を指す。利用費用が私立に比べて安い。
陳行政院長は、少子化に対応するため行政院は受け入れ枠の増加、利用費用の引き下げ、育児補助の拡大を3つの柱にして保護者に政策の恩恵を実感させるとし、子育て支援の成功を目指す考えを示した。
蔡英文総統の総統任期のうち2017年から昨年までの間に、「公共化幼児園」は3,409クラス増加、その受け入れ許容人数も累計で8万3,000人分増えた。全体では26万人となる。現在、「公共化幼児園」への入園率は81.2%に達しているという。また、自分で子育てする、もしくは一般の私立「幼児園」に通わせる場合でも政府は最初の子どもに5,000台湾元(約2万3,000日本円)、2人目には6,000台湾元(約2万8,000日本円)、3人目以降には7,000台湾元(3万3,000日本円)の補助金を提供する。
陳行政院長によれば、「0歳から6歳までは国家が一緒になって養う」政策はすでに長年推進されており、そのうち「幼児園」のための予算は1,000億台湾元(約4,650億日本円)に達している。政府は地方自治体が「公共化幼児園」の受け入れ許容人数を拡充出来るよう全力で協力する。また今年5月に総統に就任する頼清徳氏は、「0歳から22歳まで国家が一緒になって育成する」との政見を掲げ、児童教育を今以上に健全なものにするとしている。
陳行政院長は、政府は子どもたちに関する福祉と教育のプロジェクトを数多く推進しており、衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)、教育部(同文部科学省に類似)、内政部(日本の省レベル)などが力を合わせて取り組んでいると指摘。また児童のケアを専従で担う政府機関の設立の可否についても、「近いうちに行政院人事総処が関係省庁と話し合う」と明かし、子どもたちへのケアがいっそう行き届き、若者の結婚や出産の意欲につながるよう希望した。
陳行政院長ら一行はその後、苗栗県苑裡鎮の山脚国民小学(小学校)にある「苗栗県楽齢学習示範中心」を参観、受講者が太極拳を学んだり、イグサを編んだり、サキソフォンを演奏したりする様子を目にし、「定年退職したらここに来たい」と話すなど高く評価した。
陳行政院長は、政府は長期介護の推進に全力で取り組み、2016年に50億台湾元(約232億日本円)以下だった関連予算は900億台湾元(約4,190億日本円)近くに増えたと指摘。台湾全土の「楽齢中心」(60歳以上の人たちが学習したり運動したりする施設)ではこれらの人々が積極的に外出し、生涯学習することで人生をより有意義で価値あるものにしてくれるよう働きかけていると説明した。