立法院は21日、「野生動物保育法」の一部を改正する法案を可決した。これにより、野生動物の捕獲にトラバサミ、爆薬及びその他の爆発物を使用することが全面禁止された。また、先住民族が非営利且つ自分で使用する目的で野生動物を捕獲する場合は申告を義務付けることにした。申告をしなかった場合は罰金が科せられるが、刑事責任は問われない。一方で動物愛護団体が使用禁止を求めていたイノシシのくくり罠については全面禁止には至らなかった。
野生動物の捕獲に関する禁止項目は以下のとおり。
1、爆薬あるいはその他の爆発物の使用
2、毒物の使用
3、電気、麻酔物あるいは麻酔方法の使用
4、網具の設置
5、猟銃以外の銃器の使用
6、捕獲用の罠の設置や特殊な捕獲道具の使用
7、トラバサミの使用
8、その他、主管機関が禁止した方法の使用
上記の方法で野生動物を捕獲した場合、主務官庁はその方法を排除または撤去、破壊することができる。その土地の所有者、使用者、あるいは管理者は、これを回避、拒否、あるいは妨害してはならない。
なお、「動物保護法」ではすでにトラバサミの使用が全面禁止されている。このため、「野生動物保育法」でも、第21条に記載されていた「爆薬やその他の爆発物、トラバサミは例外的に使用できる」の一文が、今回の法改正で削除された。
さらに、司法院大法官釈字第803号の法解釈を受けて、先住民族の伝統文化に基づく祭祀(宗教行事)を守るため、改正法では「先住民族が非営利且つ自分で使用する目的で野生動物を捕獲、屠殺、または利用する」ことに関する規定が追加された。具体的には、現行の「許可制」に加え、新たに「申告制」と「書類提出」の規定が盛り込まれた。また、その場合でもトラバサミ、爆薬またはその他の爆発物の使用は全面禁止される。
先住民族が伝統文化や祭祀あるいは非営利且つ自分で使用する目的で野生動物を捕獲、屠殺、または利用する際、トラバサミや爆薬またはその他の爆発物を使用したり、主務官庁が禁止するその他の方法を使用、あるいは許可の申請や申告をせずに野生動物を捕獲,、屠殺、または利用した場合、今回の法改正では、それが「保育類動物」(希少種など)であれば2万(約9.5万日本円)以上10万元(約47.5万日本円)以下の罰金が科され、第41条の規定(刑事責任)は適用されない。それが「一般の野生動物」であった場合でも1,000元(約4,758万日本円)以上1万元(約4万7580万日本円)以下の罰金が科され、第49条第1項第2款の既定は適用されない。
なお、動物愛護団体が使用禁止を求めていたイノシシのくくり罠については附帯決議となり、先住民族の伝統文化においてこうした狩猟道具が不可欠な役割を果たしており、一定程度の保護と尊重を受けるべきだという認識が示された。今後、農業部が第19条第1項第8款に基づき「禁止するその他の野生動物の捕獲方法」を作成し、原住民族委員会と協議後に公告するとしている。