数位発展部は10日、政府のオープンデータの活用に関する優れた取り組みを表彰するイベントを開催し、「資料開放金質奨」(金賞)と「資料開放人気奨」(人気賞)を10の中央省庁や地方自治体などに授与した。
表彰式に出席した行政院の鄭麗君副院長(副首相)は、政府機関によるデータの公開が徐々に進み、現在では数百や数千に上るデータセットが提供されていると指摘。実際の活用例として、経済部が公開した発電量や再生可能エネルギーに関するデータを活用し、産業界がこれをもとに電力需要と供給の分析を行うことで、エネルギー政策の透明性を高め、再生可能エネルギーの発展を加速させていることを挙げた。また、多くの地方自治体が地域の施設の情報と地形図などのデータと結び付け、民間セクターによる革新的応用を奨励していると説明した。
鄭麗君副院長はさらに、AI時代を迎えるため、行政院が「智慧国家(スマート国家)2.0」の新綱領を前倒しで開始し、台湾が将来、革新的ソリューションの輸出国となることを目指していると指摘。「智慧国家2.0」プロジェクトの中で最も重要なのがデータガバナンスであり、政府は以下の大きく4つのアプローチから努力していきたいと説明した。
(1)データガバナンスの法的基盤を築く
行政院はまもなく個人資料保護委員会に関する組織法法案を提出すると同時に、段階的に「個人資料保護法」を改正する。また、「AI基本法」法案も提出する予定。数位発展部でも現在、データガバナンスに関する法的枠組みの構築に取り組んでおり、デジタル領域での人権擁護と革新的応用の両方に配慮していく考えだ。政府は単にデータの提供者であるだけでなく、データの安全を守るという役割も担っていく。
(2)データの公開からデータの協力へ
政府はリーダーシップを発揮してデータの公開を拡大し、社会的ニーズに応えつつ、信頼できるデータの流通を推進しなければならない。その過程で、データの公開を通じて産業技術と市民のアイデアを結びつけ、より多様なデータ協力を奨励し、多くの革新的な応用サービスを生み出し、社会問題の解決に役立てたい。
(3)台湾が主権を持つAIの構築
台湾が主権を持つAIを構築するためには、計算力とデータが必要だ。そのために政府機関が協力し、繁体字中国語や台湾の視点を持った訓練データを提供する必要がある。このため、複数の政府機関が連携して言語データベースの構築を進めることが重要だと考える。AI-Ready Data(AI対応データ)を解釈するデータフレームを構築することで、政府は質の高いデータ構築を推進していきたい。
(4)データが根拠のあるガバナンスを支え、公共の意思決定を助ける
データが政府の根拠のあるガバナンスを支え、公共の意思決定を助けることを期待する。行政院水及流域持続推動小組は、災害リスクや水利図などのデータを統合して一つの図面を作成し、河川の流域ごとの洪水対策を分析している。この分析を根拠として的確に予算を投入することで、地方自治体を支援している。
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このほか数位発展部の黄彦男部長は、政府機関によるデータの公開について、最初のうちは大変困難だったが、現在ではすっかり定着していると振り返った。また、台湾はデータの公開においてすでに良好な基礎が築かれており、今後台湾が主権を持つAIを構築する際には、データの公開を奨励するだけでなく、質の高いデータを構築し、民間セクターがこれを活用してさらなる付加価値を生み出せるよう期待していると述べた。