中国人民解放軍東部戦区(中国五大軍管区の一つで、台湾侵攻を担う)が「台湾独立勢力」への警告と抑止を口実に、4月1日から台湾周辺で軍事演習を実施している。これを受けて中華民国(台湾)外交部は声明を発表し、中国の行為が「ルールに基づく国際秩序を脅かし、台湾海峡及び地域の平和と安定を一方的かつ深刻に破壊するものだ」として強く非難するとともに、こうした軍事的挑発を即刻停止するよう求めた。外交部の声明は以下のとおり。
中国は近年、ニュージーランド、オーストラリア、南シナ海、韓国、日本、フィリピン、それに台湾周辺で、様々な軍事行動や海上でのいわゆる「グレーゾーン事態」と呼ばれる行動を通して国際秩序を脅かし、地域の現状を破壊する行為を続けている。これは、中国が世界やこの地域にとって「問題製造者」(トラブルメーカー)であることを十分に証明するものだ。
台湾海峡の平和と安定を維持することは国際社会における共通認識であり、全ての利害関係者の利益にかなっている。しかしながら、中国は依然として台湾および周辺国を軍事演習で脅し、台湾海峡および地域の現状を一方的に破壊する行為を繰り返している。これはインド太平洋地域の平和、安定、安全を著しく傷つけるもので、中国の国際的イメージの改善にもつながらない。外交部は中国に対して、こうした行為を停止し、常軌に戻るよう呼びかける。
台湾は国際社会の責任ある一員として、今後も近い理念を持つ国々と協力し、この地域を含む全世界の平和、安定、繁栄を共に守り、発展させていくことを約束する。
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また、中国の軍事演習については、対中国政策を担う大陸委員会も声明を発表して、次のように中国を強く非難した。
中国共産党は台湾海峡周辺を軍事演習の実験場として利用することで、台湾に対して圧力を強めるとともに、台湾を全面封鎖し、「台湾海峡の内水化(自国の水域とすること)」を試みようとしている。最近も、国際慣例に違反して艦隊をインド太平洋地域に派遣し、その武力を誇示するとともに、日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリア、フィリピン、南シナ海などの周辺海域で軍事行動や「グレーゾーン事態」と呼ばれる行動を繰り返している。中国共産党の軍事的な挑発行為は、台湾海峡の緊張状態を高めるだけでなく、地域の平和と安定を著しく破壊し、世界の安全を脅かすものだ。それはまさに折り紙付きの「問題製造者」(トラブルメーカー)と言える。こうした行動は、中国が掲げる「世界平和の建設者」という主張と完全に矛盾するものであり、「グローバル安全のイニシアチブ」や「グローバル文明のイニシアチブ」などのスローガンが単なる虚言にすぎないことを国際社会に示す結果となっている。
中国共産党が台湾に対する武力行使を諦めず、台湾に対する軍事的恫喝を継続していることは、台湾に対する強い敵意と台湾侵攻の野心を抱いていることを示すものだ。それは台湾が制定した『反滲透法』(反浸透法)が定義する「境外敵対勢力」と完全に一致している。なお、最近一部の国民が、中国共産党の台湾に対する武力行使を擁護することを「言論の自由」だと主張しているが、これは中国共産党の政治宣伝に協力し、敵と味方を混同する行為だ。大陸委員会としては極めて遺憾であり、こうした主張を非難する。
中国共産党の圧力が迫る中、中華民国政府は頼清徳総統が発表した「中国の脅威に対する17項目の対策」と「平和のための4つの支柱アクションプラン」を積極的に推進しながら、台湾の民主主義と自由の防衛ラインを死守し、社会全体の防衛力を高め、中国共産党の台湾併吞に断固反対するという強い決意を示していく。また、世界中の民主主義のパートナーから台湾への支持を取り付け、中国共産党の軍事拡張の野望を抑制し、諸国と一緒になって台湾海峡および地域の平和と安定を守っていきたい。