台湾では今年、5月31日（土）が「端午節」（端午の節句、旧暦5月5日）にあたる。前日の5月30日（金）が振替休日となり、土日を含めた3連休が形成される。頼清徳総統はこの「端午節」の連休前に、このほど台湾南部・高雄にある海軍の「反潜航空指揮部」（対潜航空指揮部）を訪れ、軍の教育番組『莒光園地』の端午節特別番組に使用する動画を撮影した。この番組は22日午後に放送された。頼総統はこの中で、「自由と民主主義の尊さは、実力と、そして日々の警戒によってしっかり守ることができるものだ。国軍の兵士たちが日々の訓練と任務に全力を尽くし、『実力によってこそ真の平和がもたらされる』という目標の達成に努めることを願っている」と激励。また「スパイへの警戒や機密保持の重要性についても特に留意すべきだ」などと注意を促した。頼清徳総統が語ったメッセージの概要は以下のとおり。
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私は軍人の健康と家庭の安定を非常に重視している。なぜなら、軍人は国全体の戦力の基盤だからだ。陸・海・空軍の統帥として、国軍を守ることは私の責任だ。政府は今後も国軍の訓練環境と福利制度の改善を継続し、安全、尊厳、価値のある環境の中で、安心して任務を遂行できるようにしていきたい。
海上での任務でも、中国によるグレーゾーンの嫌がらせが頻発しているという話が出た。我々は中国の「五大脅威」に対して17項目の対応策を提示している。すなわちそれは、第一に国家主権への脅威、第二に国軍への浸透とスパイ活動、第三に国民の国家アイデンティティの混乱、第四に両岸交流を利用した台湾社会への浸透や統一工作、第五に中国に進出する台湾企業や青年交流の引き込みなどだ。これらの脅威に対して17項目の具体的対策を提起した。
中国の台湾・澎湖・金門・馬祖に対する野心は一貫している。最近はハイブリッドな手法によるグレーゾーンでの嫌がらせに力を入れ、我々の日常生活や主権や地位に影響を与えようとしている。こうした現実を直視し、積極的に対応し、そして対策を講じること、これこそ責任あるやり方だろう。
国軍の兵士たちは、我々が大切にしている日常を最前線で守る人々だ。自分が担っているのは「国家を守る」という重大な仕事であると、声を大にして、誇りをもって語って欲しい。私は信じている。軍の内部に存在する少数の不正行為者によって軍全体のイメージが損なわれ、士気が低下することは決して容認できないことであり、全員が国の安全のために全力を尽くしていると。
一つ警告しておきたい。国軍は重要なポジションにあるため、敵からの浸透や接触の対象になりやすい。軍での日常の行動ひとつひとつが、中国のスパイにとっては貴重な情報源となっている可能性がある。ゆえに極めて慎重に行動し、スパイ防止と機密保持の重要性を重視して欲しい。
入隊の動機が何であれ、国軍兵士たちは誰もが共通して自由と民主主義を愛し、自らを育んだこの土地を大切にしていると信じている。この共通の考え方を基礎として、私も皆さんと一緒に立ちあがり、軍人の名誉をさらに高めていくことを約束する。
5月8日は欧州における終戦80周年の節目の日であり。私は台湾として初めて関連のイベントに参列した。私はそのとき、アイゼンハワー元米大統領の言葉を引用した。それは「連合国遠征軍の兵士、船員、飛行士たちよ。諸君らはいま、偉大な戦いに赴こうとしている。我々はその準備に数ヶ月を費やしてきた。世界中の目が諸君たちを見守っている。世界各地の自由を熱愛する人々の希望と祈りが、これからも諸君らとずっとともにあるだろう」というものだった。
この言葉は、自由と民主主義の尊さが、実力と常日頃からの警戒によって守られるということを、我々に思い起こさせる。私はこの言葉をもって、国軍の兵士らを激励したい。皆さんは国の最も堅固な支えである。それが背負っているのは軍人としての職責だけでない。全国民の自由に対する信仰を代表しているのだ。
自由と民主主義は決して天から与えられるものではない。勇敢な先人たちが一代また一代と努力し、犠牲になりながら得てきたものだ。国軍が行うすべての訓練、演習、流す汗の一滴一滴が、平和を守る最も力強い礎である。日々の訓練を徹底して行い、「実力によって真の平和を実現する」という目標を実現して欲しい。
きょうは皆さんと話しができて楽しかった。士官や兵士たちの努力と、国に対する忠誠心を目の当たりにし、非常に安心した。今後も多くの課題に直面するだろうが、国軍がいる限り、国家には力があると信じている。我々が守っているのは領土だけでなく、民主主義、自由、そして尊厳である。これからもともに努力していこう。
動画はこちらからご覧いただけます
https://youtu.be/b9IoIaXktDw?si=KmV2qbyIIoeHOeni