2025/05/29

Taiwan Today

政治

2050「ネットゼロ」戦略に向けて前進、台日ブルーカーボン・サミット開催

2025/05/28
台湾の社団法人中華碳匯産業推展協会は27日、日本のジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)と共同で「ブルーカーボン」をテーマにした台湾と日本の専門家によるサミット「台日海洋碳匯高峰会」を台北市内で開催した。日本から橋本聖子参議院議員らが出席した。(中央社)
台湾の社団法人中華碳匯産業推展協会(Chinese Carbon Sink Promotion Association)は27日、日本のジャパンブルーエコノミー技術研究組合(Japan Blue Economy association、略称JBE)と共同で、海洋生態系に隔離・貯留される炭素、いわゆる「ブルーカーボン」をテーマにした台湾と日本の専門家によるサミット「台日海洋碳匯高峰会」を台北市内で開催した。海洋政策や海上保安などの行政を担う海洋委員会(台湾の中央省庁の一つ)の管碧玲主任委員(大臣に相当)、経済部の何晉滄政務次長(=副大臣)、立法委員(国会議員)の蔡易餘氏(民進党)、鄭正鈐氏(国民党)、日本の橋本聖子参議院議員、日本台湾交流協会台北事務所の服部崇副代表など、台湾と日本の関係者が多数出席した。
 
管碧玲主任委員は、気候変動問題に取り組む中、ブルーカーボン生態系の拡大が「ネットゼロ」実現への重要な手段であり、海洋を守るための具体的なコミットメントにもなると指摘。海洋委員会は、台湾の政府が掲げる2050「ネットゼロ」戦略(2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を実質的にゼロにすること)の一つ、「自然由来のカーボンシンク」の重要な一環としてブルーカーボンを挙げていること、これまでに台湾全土のブルーカーボン生態系の調査を2回実施したところ、藻場(海草・海藻)、マングローブ、塩性湿地などブルーカーボンの主要な吸収源となるブルーカーボン生態系の総面積は9,000ヘクタール近く、推定されるCO2吸収量は47万トンと見込まれることなどを説明した。
 
管碧玲主任委員はまた、海洋委員会が農業部と共同で、マングローブと藻場の復元による小規模なCO2削減方法を提案し、これがすでに環境部による初期審査を通過したことを明らかにした上で、この方法が台湾の「温室効果ガスインベントリ」や「カーボンクレジットメカニズム」に組み込まれ、カーボンシンク(大気中のCO2を吸収すること)の効果と生態系保護という二重の目標を達成することを期待していると述べた。
 
橋本聖子参議院議員は、気候変動と持続可能な開発は世界が関心を寄せる問題であり、近年気候変動がますます深刻化する中、ブルーカーボンは重要なCO2削減手段として国際的に高く注目されていると述べた。また、日本ではブルーカーボンの推進に当たり、制度的な課題や社会的困難に直面しながらもゼロからスタートし、長い時間をかけて各分野と連携を図り、現在の制度を確立したことを紹介。台湾の海沿いには豊かな生態系があり、ブルーカーボンの資源も多いことから、(ブルーカーボン生態系の拡大には)大きな発展の余地があるとして、今後台湾と日本がブルーカーボン分野で協力を深め、共通のブルーカーボン認証基準を確立できるよう期待していると述べた。
 
経済部の何晉滄政務次長は、「こうした交流を通じて台湾が日本からブルーカーボンの成功事例を学び、政策対話と経験の共有を促進することや、台湾と日本の科学研究協力によって『ネットゼロ』の目標にさらに近づくことを期待している。政府としても、これから産業のグリーン・トランスフォーメーション(GX)を促進し、国際的な連携を強化していきたい」と語った。
 
蔡易餘立法委員(国会議員)は、3年前に日本の長崎県大村湾を訪れた際、橋本聖子議員の温かいもてなしを受けたこと、大村湾では海洋整備と藻場の拡大によるブルーカーボン・プロジェクトの取り組みを視察したことを振り返った。そして、「日本はブルーカーボンの認証制度が確立されている。一方の台湾は、環境部が5つの算定手法を公表しているものの、現時点ではグリーンカーボン(陸上の植物が吸収・貯蔵する炭素)やイエローカーボン(土壌が吸収する炭素)に限られており、ブルーカーボンについては整備が後れている。しかし台湾は海洋国家だ。ブルーカーボンは最も重要な分野になるはずだ。ブルーカーボンの発展は、台湾が目指すネットゼロ達成において重要な役割を果たすことになるだろう」などと強調した。
 

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