国家衛生研究院の温啓邦教授 (国家衛生研究院ウェブサイトより)
毎日15分間の運動で死亡率が14%低下する。がんによる死亡率は10%、心血管疾患の死亡率は20%下がり、寿命は3年延びる。この研究結果は国家衛生研究院群体健康科学研究所の温啓邦教授によるもので、同教授は、低負荷ながら継続する運動はいかなる疾病にも効果的な万能薬だとしてこれを提唱している。喫煙者でも毎日30分間運動すれば、死亡率は運動しない正常な人と同じレベルに下げられるという。 温教授の最新の研究は先ごろ、権威ある医学雑誌『The Lancet』に掲載され、多くの国際的メディアによって報道された。研究では、行政院衛生署国民健康局がかつて推進した、「スポーツ3・3・3」(毎週「3」度運動する。「3」0分運動する間、1分あたりの心拍数を1「3」0回に上げる)はもはや適切とはいえず、低負荷の中強度運動(約1時間で4キロのウォーキング)で効果があり、軽いウォーキングや登山、ジョギングなどで成果が得られるとしている。 温教授の方法は心拍数を使わない。毎日15分間、意識的に運動し、規律正しい運動から楽しみを見出すことで効果がある。ハードなスポーツならば運動する時間を短縮できるが、温教授は、難度が低くて簡単な運動の方が習慣として身につくのを助けるとして賛成している。簡単な運動は15分で終えるほうが難しく、スタートするとついつい目標よりも長く続けてしまう他、継続することも容易だからだ。 温教授の研究資料は台湾の某健康管理データバンクのものを使用している。1996年から2008年までで41万人のデータを集計、平均で8年間追跡した結果、54%の人が普段運動しないことが分かった。低負荷の運動をしているのは22%にすぎず、特に25歳から44歳までの人の運動量が少なく、社会的に高い地位にある人ほど運動を好まない。 低負荷運動グループ(毎週90分間、毎日15分間の運動)は運動しないグループに比べて死亡率が14%下がり、平均寿命は3年長くなる。これに15分間の運動を加えた場合、死亡率はさらに4%下がる。運動しないグループは死亡率で17%高いが、低負荷運動をするならば、死亡率を1/6下げられるという。 (2011/08/17 中国時報)