台湾では昔から死について語ることはタブーであり、葬儀も非日常の中で行われることが当たり前となっていた。しかし、現代という時代にそぐわない葬儀の風習を改め、家族の間でのもめ事を解消するとともに、性別や出身(エスニック・グループ)、宗教、年齢、社会的地位の違いを乗り越え、家族の一人ひとりが悲しみなど思いを伝えることのできる機会にすべきである。つまり、これが内政部が同書を出版した目的なのである。
また、台湾社会の過去50年の移り変わりによって、葬儀の習慣にもさまざまな特徴が表れている。だからこそ、時代の変化に伴い、葬儀におけるマナーや風習の一つひとつをより細分化し、性別やさまざまな違いを尊重すべきだと訴えることもまた、同書出版のもう一つの目的である。
内政部は書籍の出版とシンポジウムを通じ、それぞれの葬儀において尊厳をもって故人を見送り、「目上の人に対し、生前はよく仕え、死後は丁重に葬る」という作法の優れた点を広めて欲しいと期待している。また、孝行に努め、死を悲しむに当たり、葬儀も時代とともに進化し、社会の流れや動向によりマッチしたものにすることができるのである。