口唇口蓋裂の治療、並びに整形手術やリストカットによる白い傷跡は、治療後の患者が社交活動をする上での自信に影響する。過去に入れ墨を取り除く無償治療を推進したことのある形成外科の曹賜斌医師は、白い傷跡の治療のためにオリジナルの「微細皮膚色素移植手術」を考案、患者の白い傷跡を消し去り、社交活動への自信を取り戻させることに成功した。この手術が最近、海外からの注目も集めている。
曹医師は、この傷跡を治すと同時に心理的なケアにもなる手術を無償治療として行う計画で、学生や社会人が白い傷跡を治してつらい過去の思い出を消し去り、安心し、憂いなく未来に向き合えるようにしたいと希望している。
曹医師の考案したこの手術は、まず患者の皮膚を1~2cmのサイズで採取し、皮下脂肪と角質層を取り除いてから色素細胞を含む微細皮膚顆粒にする。そして、18号の注射針で白い傷跡に間隔をとりながら穴を開けて注入、真皮の底に色素細胞を含む微細皮膚顆粒を移植する。
色素細胞を含む微細皮膚顆粒は通常、移植から3カ月で皮膚の色素を生み出す。3カ月ごとに前回施術した場所の間に再び微細皮膚を植え付けていくことで白い部分が徐々に埋まっていく。手術は白い傷跡が見えなくなるまで続けられる。
過去3年間に治療を受けた38人のケースについて1年以上の追跡調査を行ったところ、術後の患者本人の満足度と医療スタッフの客観的な感想のいずれも全体的な治療の効果が認められ、満足度は1度の施術で50%、2度の施術では80%、3度の施術では90%という結果が得られた。調査対象となった患者には、術後に現れる恐れのあった皮膚内での嚢胞、色素沈着、ケロイドや肥厚性瘢痕などの合併症はいずれも見られなかった。
この研究内容は昨年、台湾北部・台北市内で開かれた国際的な美容外科医学会議である、「東方美容外科医学会議(OSAPS)」で初めて論文として発表された。今年3月にタイのバンコクで行われた、「アジア及び国際形成外科学術大会」でも再び関連の論文が発表され、アジア太平洋諸国の医師たちから高い評価を集めた。