中国大陸の目と鼻の先にある台湾の離島、金門島。ここでは、穀物のコーリャン(高梁)を原料とする蒸留酒「金門コーリャン酒」が生産されている。その「金門コーリャン酒」が、昨年米国で開催された「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SWSC)2016」でダブルゴールドメダルを受賞したのに続き、このほど開始された米国最大規模のスピリッツ(蒸留酒)コンテスト「アルティメット・スピリッツ・チャレンジ(USC)」、そしてベルギーで開催された2017年「モンドセレクション」でも高い評価を得ている。
「金門コーリャン酒」を製造する金門酒廠(KKL)は2日、記者会見を開催。このほど出品した米「アルティメット・スピリッツ・チャレンジ」で、同社が生産する600 ml入り、アルコール度数66度の「陳年大麯酒」が、95点の高得点でファイナリストに選ばれると共に、「Extraordinary, Ultimate Recommendation(究極の推薦)」の評価(95~100点)を得たことを明らかにした。
このほか、500ml入り、アルコール度数58度の「金門コーリャン酒白金龍」と「台湾金門コーリャン酒-精選46」の2つが、いずれも94点で「Excellent, Highly Recommended(高く推薦)」と評価された。
「アルティメット・スピリッツ・チャレンジ」はまた、今年初めて「カクテル部門」を設置。600 ml入り、アルコール度数66度の「陳年大麯酒」は、この評価でも満点の星5つを獲得し、グランプリに輝いた。これまで「アルコール度数の高いコーリャン酒はカクテルに向かない」と言われていたが、見事に通説を覆したことになる。
これとは別に、金門酒廠はベルギーで行われた2017年「モンドセレクション」にも9つの商品を出品。そのうち「陳年金門コーリャン酒ギフトセット」が2年連続で最高金賞を受賞したほか、「戦酒」や「鹿茸酒」など8つがすべて金賞を獲得した。そのうち「鹿茸酒」は、モンドセレクション初出品にして金賞獲得となった。
「鹿茸酒」は、台湾に分布する梅花鹿(タイワンジカ)の質の高い「鹿茸(ろくしょう)」をコーリャン酒に漬け込んだもの。「鹿茸」とは、生え始めた柔らかい鹿の角を乾燥させた生薬。金門島でタイワンジカを飼育する李根楽さんによると、「鹿茸」を採取するタイワンジカには、コーリャン酒の酒粕や全く汚染されていない自生のまぐさを飼料として与えている。「鹿茸」は、検疫に合格したものしか採取しないほか、1頭の鹿から採取できる「鹿茸」が600グラムを超えないと金門酒廠には提供しないなどの基準を設けている。金門島で生産される良質のコーリャン酒と、厳選された「鹿茸」のコラボによってモンドセレクション金賞を受賞した「鹿茸酒」が誕生したのだと李根楽さんは胸を張る。