2025/07/16

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文化・社会

国立台湾師範大学、畢昇の印刷技術を再現

2017/05/05
国立台湾師範大学の研究グループが宋の時代の人、畢昇の粘土活字を用いた印刷が可能であることを証明、世界で最も早く活版印刷を発明したのは中国であることを確認した。(中央社)
印刷は中国古代の四大発明の一つ。国立台湾師範大学(台湾北部・台北市)の研究グループはこのほど3Dプリンターでプラスチック製の活字を製作、さらにこれを「膠泥(粘土)」の活字に加工して、宋の時代の人、畢昇の粘土活字を用いた印刷が可能であることを証明、世界で最も早く活版印刷を発明したのは中国であることを確認した。
 
国立台湾師範大学の印刷技術研究グループは、北宋の時代の科学者、沈括が『夢渓筆談』で記した内容を根拠に畢昇による粘土活字の活版印刷術を模索し、それに従い松脂と粘土を用いた活字を作り出した。同グループは、畢昇が西暦1041年から1048年ごろに発明した粘土活字による活版印刷が可能であることを証明。研究成果は関連の雑誌で発表されている。
 
同大学グラフィックアート及びコミュニケーション学科の徐照夫兼任副教授によれば、印刷技術史の講義の中で世界最古の活版印刷について考える際、常に沈括が『夢渓筆談』に記した畢昇の粘土活字の印刷術に言及される。しかし、沈括の著作と粘土を用いた活版印刷とは40年間離れている他、沈括は自身の目で直接見たのではなく、他人の話を引用していることもあり、印刷過程にあるべき要件を知ることはできなかった。
 
畢昇の印刷術が可能なのかどうかを確かめるため、国立台湾師範大学の研究グループは、活字や組板の製作、文選、植字、印刷、返却などの印刷手順に従い、畢昇による活版印刷の過程をシミュレーションした。
 
『夢渓筆談』での記載によれば、畢昇の活版印刷では活字を製作する際、「粘土を用いて字を彫る。銅銭の縁のように薄く。一つの字を一つの判とする」。今回の実験ではまず3Dプリンターを用いてプラスチック製の活字を製作。それから型をとり、湿った陶土を使って活字とした。さらに暗がりで乾燥させ、縁をきれいに仕上げた上で、炭火もしくは電気窯で焼き、押し付けられても砕けないようにして粘土活字を完成させた。
 
研究グループは同研究で特許を2件取得。一つは畢昇の粘土活字の製作方法で、もう一つは手で持ち運びができる教具。学生たちに畢昇の活版印刷術を実際に体験させられる他、植字や印刷も可能となっている。
 
 

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