2025/04/27

Taiwan Today

文化・社会

『看見台湾』の斉柏林監督がヘリ墜落で死亡、各界が哀悼

2017/06/12
ドキュメンタリー映画『看見台湾(邦題:天空からの招待状)』の斉柏林監督が10日午前11時ごろ、台湾東部・花蓮県でヘリコプターの墜落により死亡した。斉監督は8日に記者会見を開催し、『看見台湾』の続編制作を発表したばかりだった。台湾北部・台北市の超高層ビル「台北101」は11日夜、斉監督をしのび、「看見台湾」、「永遠的斉柏林」などのメッセージをライトアップした。(中央社)
台湾の美しい風景を上空から撮影し、人々の環境意識を高めることに貢献したドキュメンタリー映画『看見台湾(邦題:天空からの招待状)』の斉柏林監督が10日午前11時ごろ、台湾東部・花蓮県でヘリコプターの墜落により死亡した。斉監督は8日に記者会見を開催し、『看見台湾』の続編制作を発表したばかりだった。ヘリコプターには斉監督のほか、操縦士の張志光さん、斉監督のアシスタント、陳冠斉さんの3人が乗っていたが、全員の死亡が確認された。
 
蔡英文総統は10日、自身のフェイスブックに「斉監督の死去は、台湾にとって極めて大きな損失だ」と書き込んだ。そして「斉監督が空撮した新店渓(台湾北部を流れる河川)の写真を見ていると、彼が私たちと共にいるかのように感じる」と述べた。
 
台湾の女性ニュースキャスターで元政治家の陳文茜さんは、斉監督から受け取った最後のメッセージの内容を自身のフェイスブックで明らかにして故人をしのんだ。そこには「文茜さん、私は次の作品の準備に取り掛かっています。すでに日本、中国大陸、マレーシア、ニュージーランドなどの国々が直面している環境問題、及びそれらの問題と台湾とのかかわりに関する撮影を行っています。どうぞお体を大切に!」と書かれていたという。
 
台湾の電信大手、中華電信公司の鄭優董事長(会長)は11日、斉監督の台湾に対する貢献と自己犠牲に感謝するため、同社がスポンサーとなって、『看見台湾』続編の撮影を全力で協力し、斉監督の志を受け継ぐ決意を明らかにした。また、同社のマルチメディア・オンデマンドサービス「MOD」で6月末まで『看見台湾』を無料配信すると発表した。
 
ドキュメンタリー映画『看見台湾』の監督として知られる斉監督は、カメラマンでもあり、環境問題の提唱者でもあった。空撮という手法で、台湾各地で行われている大型工事を記録。特に道路建設を中心に記録し続けた。20数年前からすでに空撮を行っており、台湾の地形、河川、生態系などを題材にして、台湾の人々に環境問題を訴えたことで知られている。
 
2016年10月には空から撮影した映像を集めたデータベースサイト「itaiwan8愛台湾吧」を開設。約25年間かけて撮影してきた画像及び映像を一般公開するとともに、ウェブ上で直接、コンテンツの利用申請を行うことができるようにした。
 
斉監督の代表作『看見台湾』は準備に1年、撮影に3年の歳月をかけたもの。台湾というこの島国の美しさと哀愁を、映像を通して訴えることに成功した。台湾での興行収入は2億2,000万台湾元(約8億日本円)を超え、台湾のドキュメンタリー映画史における記録を塗り替えた。2013年には第50回「金馬奨(ゴールデンホース・アワード)」最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。国内外から高い評価を得ると共に、台湾の人々が環境問題と向き合い、環境を大切にするきっかけを与えることとなった。
 
斉監督の撮影チームは2015年、空軍救護隊の創立60周年を記念して、『看見台湾、慈航天使』と題する短編映画の撮影に協力したことがある。昼夜を問わず、高山であろうと海上であろうと、救助活動が必要な場合に出動するヘリコプター部隊「海鴎(かもめ)救護隊」を紹介したものだった。空軍は12日早朝、C130型輸送機を出動し、空軍の良き友人でもあった斉監督の遺体を台北まで移送し、斉監督の最後のフライトを手伝った。
 

ランキング

新着