台湾における宗教と信仰は非常に多元的であることから、内政部(日本の省レベル)が「宗教ロハス体験(Temple Stay)」を打ち出している。内政部によると、2014年より毎年、宗教団体からの提案を受けて同部は専門の委員会を組織して宗教観光の実地調査を実施。今年は、内政部が現在普及に努めている「台湾宗教文化マップ」とリンクした形で10コースを選定、宗教体験を観光旅行とを結び付け、国内外の観光客に新たな選択肢を提供している。
内政部の定めたコースは、台湾北部、中部、南部、東部で、仏教、道教、カトリック、プロテスタントなどをカバー、「宗教文化マップ」に合わせて宗教体験と観光を結び付け、一味違った台湾の風情が感じられるものとなっている。
「Temple Stay」は一泊二食で一泊二日、もしくはさらに長い日程も可能で、参加者に修行僧などの実際の生活を体験させる。例えば霊鷲山の「礼仏繞仏」(仏像を拝む、読経しながら仏像の周りを右回りに回る)、「転経輪」(「観音六字」の書かれた鉄製の筒のようなものを回す)、「奉茶」(お茶を入れて差し出す)、法鼓山の「禅悦体験キャンプ」では仏教の「行住坐臥」(人の日常生活の基本的な行動)の四威儀などが体験できる。
10コースは、台北市(台湾北部)の祖師禅林、新北市(同北部)の霊鷲山仏教基金会、桃園市(同北部)の仏教弘誓学院、台中市(同中部)の財団法人天帝教天極行宮、南投県(同中部)の三育キリスト教学院、台南市(同南部)の善知院、高雄市(同南部)の仏光山寺、カトリック真福山社福文教センター、一本書道院、そして台東市(同南東部)の法鼓山信行寺。
特に、高雄市杉林区にある真福山社福文教センターは、カトリックの故・単国璽氏が民国80年代(1991年から2000年)はじめに高雄教区の司教を務めていた時期に、台湾南部におけるカトリック教徒のニーズに応じて打ち出した構想と願いだったもの。当時、杉林区の標高100mあまりの小さな山の上、28ヘクタールの土地を選び、「真福山」と命名。マタイによる福音書の中の「真福八端」を記念する他、ここへ参拝や活動でやって来る人たちが、「真の幸福」を見つけられるよう願った。
故・単国璽氏は、台湾の人として初めてバチカンから枢機卿に任じられた。真福山社福文教センターには故・単国璽氏の文物館もあり、生前の事績が紹介されている他、生前に使用した物品や衣服、中華民国一等景星勲章などが展示されている。
「宗教ロハス体験」コースは、「台湾宗教文化マップ」のウェブサイト(https://www.taiwangods.com)及び「台湾宗教文化マップ」アプリで検索が可能。英語版はすでに完成しており、日本語版は年末に供用を開始する予定。