台湾の作曲家、張紅蘋(Hung Ping Chang)さんは『木蘭幻想曲』の吹奏楽バージョンで「世界吹奏楽協会(World Association for Symphonic Bands and Ensembles,WASBE)」が初めて行う作曲コンクールに出場し、決勝の上位3位入りを果たした。1回目の同コンクールに台湾の作曲家として名を残したことになる。
台湾出身で現在は米ニューヨークを拠点とする作曲家、張紅蘋さんは先ごろ、「世界吹奏楽協会」の第一回国際作曲コンクールに参加、決勝戦の上位3位に残った。優勝は米国の作曲家、Gregory Fritzeさんだった。張紅蘋さんは、『木蘭幻想曲』が、WASBEのステージで初めて演奏される台湾の作曲家による作品となったことだけで大変光栄だと話した。
WASBEは世界最大の吹奏楽団体で1983年にノルウェーで創設された。現在では欧米、アジアの50カ国あまりの1,000人を超える会員と団体が所属している。毎年、異なる国で国際会議を開いており、そこでは世界の著名な指揮者、作曲家、音楽家、及び管楽の指導者らが一堂に会し、世界各地からやってきたトップレベルの吹奏楽団が演奏している。今年初めて行った国際作曲コンクールはこの国際会議の目玉となった。
昨年米ニューヨーク大学の大学院で修士号を取得した張紅蘋さんは、昨年は駐ニューヨーク台北経済文化弁事処(米ニューヨークにおける中華民国領事館に相当)の招きに応じて、ニューヨークのメトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティー(MTA)のために『Thank you MTA, thank you from Taiwan』を作曲した。
張紅蘋さんは国立台湾師範大学(台湾北部・台北市)の音楽学科出身。声楽を専攻しながらピアノを副専攻。その後、同大学で修士号を取得した。その間、米北テキサス大学の音楽学科との交換留学生に選ばれた。張さんは、留学を通じて東方文化と音楽が溶け合うユニークさを感じるようになり、台湾に戻ると作曲に打ち込むことを決意、心に生まれたインスピレーションを完全な形で譜面にしようと思い、出来上がったのが『木蘭幻想曲』だった。
張紅蘋さんが人生においてさまよいながら生み出した『木蘭幻想曲』は、水墨画、書道、太極思想、武術、故意に残す空白、そして東方文化で独特の「気」の概念を融合し、木蘭(ムーラン)という少女が父の代わりに男装して従軍し、国のため家のために勝ち取る栄誉を表現しているという。張さんは、同作品の交響曲バージョンでニューヨーク大学の教育学研究科(NYU Steinhardt)で作曲の修士課程を申請中だということ。
張さんは、「台湾を代表してこの国際的な舞台に立て、ヨーロッパと西洋の音楽界に東方からの響きを聴いてもらえることをとても光栄に思う」と話した。