2017年夏季ユニバーシアード台北大会では、ユニバーシアードで初めて武術(武術太極拳)が実施され、全ての試合が有意義なものとなった。中国大陸・北京体育大学の孔繁輝(Kong Fanhui)選手と華東交通大学の呉夢瑤(Wu Mengyao)選手はそれぞれ男子太極拳/剣総合、女子太極拳/剣総合でいずれも大差をつけて優勝した。
中国大陸の2選手が金メダルを独占したのに対し、「チャイニーズタイペイ(中華台北)」名義で参加している中華民国(台湾)も好成績を残している。26日の太極剣で3位につけていた男子の陳宥崴(Chen Yu Wei)選手と女子の陳宜盈(Chen Yi Ying)選手は28日の太極拳で、地元のファンたちが応援する中、見事な演技を披露し、それぞれマレーシアと香港の選手を僅差で逆転、台湾に2個の銀メダルをもたらした。
見事な逆転で銀メダルを獲得した陳宥崴選手と陳宜盈選手は申し合わせたように安定性の大切さを強調し、中華民国武術総会のサポートに感謝した。陳宜盈選手は、「順位や成績はそれほど気にしておらず、地元での大会なので自分にとって最高の演技をしたいと思っていた」と話した。陳選手は、地元で最高の成績を残したいとは思ったがプレッシャーはそれほど感じなかったという。その理由は、陳選手は他の選手と異なるダイナミックなスタイルなので、自分の出来る最高の演技をすればいいとだけ考えたこと。
一方、陳宥崴選手は自分の演技にもう一つ納得がいかなかった。最終的に0.01という僅差でマレーシアの選手を逆転できたが、陳選手は、「試合は失敗が数を競う。今日は失敗したし、それで点数を差し引かれた。ただ、ポイントは試合の中でいかに精神状態を調整できるかだ。安定している者が勝つ」と話した。
ユニバーシアード台北大会では、ユニバーシアードが1959年に始まって以来初めて武術を実施。この歴史的な大会は、より多くの人たちに武術を認識させるばかりでなく、各国で武術を学んでいる大学生選手たちに力試しのチャンスを与えた。こうした機会は大変得がたく、中国大陸を代表して参加し、金メダルを獲得した李孟南(Li Mengnan)選手、孔繁輝選手、呉夢瑤選手をはじめとする各地の選手たちはみな大会側が武術を実施競技に選んだことに感謝した。
地元である台湾の選手たちの喜びは言うまでもなく、陳宜盈選手は感動した様子で、「観衆が応援する声は精神的な支えで、本当に感動した。海外では選手同士が励まし合うが応援してくれる人はいない」と話し、さらに「海外ではチームメイトを必死で応援するので帰国するといつも声が枯れている」と笑った。陳選手は今大会で武術が実施されたことがみなの武術に対する理解をいっそう深め、武術の発展に対する重視や武術人口の増加につながることに期待した。
武術競技には従来からの「強国」である中国大陸、ベトナム、マカオ以外に、欧州諸国の選手も参加した。そのうちロシアの選手たちは見事な演技を見せ、27日には長拳種目で男女共に銀メダルを獲得して皆を驚かせた。