「Bangsokol: A Requiem for Cambodia（南国悲歌：カンボジアへのレクイエム）」は、カンボジア、台湾、米国、オーストラリアによって共同製作された、1970年代のカンボジアで革命によって虐殺された人たちを追悼する音楽と映像のミュージカル。
米女優アンジェリーナ・ジョリーさんが監督を務めた映画「ファースト・ゼイ・キルド・マイ・ファーザー（最初に父が殺された）」は、アカデミー賞外国語映画賞のカンボジア代表に選ばれた。アンジェリーナ・ジョリーさんは、カンボジアのプロデューサー、リティ・パニュ（Rithy Panh）さんとともにこの「Bangsokol: A Requiem for Cambodia」を鑑賞しており、これが大きな話題を呼んだ。
台湾の「文化親善大使賞」を受賞したニューヨーク・ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック（BAM）の総支配人、Joseph V. Melilloさんは、アンジェリーナ・ジョリーさんが世界中で議論される人道の精神に関心を持ち続けていることを高く評価している。さらに、「Bangsokol: A Requiem for Cambodia」を通して、40年前に起きたクメール・ ルージュ（カンボジア共産党）による大量虐殺という歴史的悲劇についてより多くの人に関心を寄せてもらい、悲劇を繰り返さないよう呼びかけたいとしている。15歳のときにカンボジアの労働収容所から逃れたリティ・パニュさんは、1970年代後半に起きたクメール・ ルージュの残酷な大量虐殺に焦点を当て、創作活動を行っている。
文化部（日本の文科省に類似）の委託を受けて、台北愛楽文教基金会とカンボジア生活芸術センターが共同制作した、「Bangsokol: A Requiem for Cambodia」は現地時間15日と16日にブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージックで初公開された。その舞台のバックにあるドキュメンタリーフィルムはリティ・パニュさんが製作したもの。
「Bangsokol: A Requiem for Cambodia」の音楽は、カンボジアの伝統的な民族音楽団、ニューヨークメトロポリタンオーケストラ、台北愛楽室内合唱団（Taipei Philharmonic Chorus）による共同演出。これは、政府が推進する新南向政策（東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアなど18カ国を対象国として、幅広い関係強化を目指すもの）における大規模な文化交流計画の先駆けになった。製作に携わったオペラ作曲家のヒム・ソピー（Him Sophy）さん、リティ・パニュさんは当時を知る生存者だ。そのほか作詞は米国籍のTrent Walkerさん、舞台監督はオーストラリア籍のGideon Obarzanekさんが担当した。
カンボジア生活芸術センターの総支配人、Phloeun Primさんは上演後、台湾の支援に対する深い感謝を表した。Phloeun Primさんは、台湾の支援があってこそ、9年もの歳月を経て製作され、南伝仏教に伝わるパーリ語による音楽劇、「Bangsokol: A Requiem for Cambodia」を国際舞台で披露することができたと感謝、そしてこのミュージカルをさらに完璧なものにする台北愛楽室内合唱団にも謝意を表した。ニューヨークでの上演を終え、19日と20日にはボストンのArts Emersonで、来年5月にはパリでも上演された後、年末に再び台北（台湾北部）に戻る。
「Bangsokol: A Requiem for Cambodia」は、招きに応じて、15日と16日、ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージックが開催するフェスティバル、「Next Wave Festival」において米国での初公演を行った。これは、新南向政策の文化交流計画の成果の表れともいえる。
「Bangsokol: A Requiem for Cambodia」の特色の一つは、国境を超えた共同製作の理念にある。固定メンバーのカンボジアの伝統的な民族音楽団や台北愛楽室内合唱団のほか、各国での演出の際に現地のオーケストラなどを招へいして共同演奏を行う。これは観客との距離を縮め、観客に親近感を与える効果があるだけでなく、世界平和や愛という地球村の精神をアピールすることにもなる。ニューヨークでの上演後、19日と20日にはボストンのArts Emersonで上演される。