2025/06/06

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名人形遣い・林金錬さん特別展、「傀儡跳鍾馗」がいま明らかに

2017/12/25
伝統宗教儀式の「跳鍾馗」を人形で行う人形遣いの林金錬さん(写真)。自身の歩みや「跳鍾馗」の意義を紹介する特別展の開幕記者会見で、その技について説明した。(中央社)
85歳の林金錬さんは現存する数少ない「傀儡跳鍾馗法師」である。宗教的な伝統儀式「跳鍾馗(ちょうしょうき、道教の神『鍾馗』が舞うという意味)」を傀儡(人形)で行う人形遣いとして、雲門劇場や大稲埕戯苑といった劇場の開幕や、1998年の中華航空(チャイナ・エアライン)676便墜落事故犠牲者の慰霊などにも自ら赴く。このほど大稲埕戯苑が開催している特別展では、神秘的な「跳鍾馗」の意義を紹介している。

「跳鍾馗」とは厳かな民俗宗教儀式で、祈りを捧げるのは吉凶さまざまな出来事がある。新しい廟や新居、劇場のくわ入れや落成、商店・会社の開業から、犠牲者が出た事故や殺人事件の現場での慰霊まで広く扱い扱い、この儀式を通じて厄除けや福の到来を祈る。

「跳鍾馗」が扱う事件や場所はデリケートであることや、神や霊に触れるというその本質により、お年寄りの多くが儀式そのものをタブーとして見る向きがある。よって儀式を見ただけで悪運に見舞われるとか、妊婦が見ると骨軟化症の子供が生まれるといった迷信も伝えられる。

特別展では、五方令旗、法索、日月傘といった儀式で使う法器のほか、4代にわたり家に伝わる符咒木印版(おふだを印刷する原版)や跳鍾馗の写真などが展示され、神秘的な儀式が明らかにされている。

林金錬さんの父は台湾北西部・新竹の布袋戯団「景春園」の団長だったため、自身も「跳鍾馗」を演じることができるようになった。林さんは布袋戯の名匠・李天禄さんに師事、また「符咒法術(道教のおふだやまじない)」に精通する陳渓さんにも学んだ。林さんは、「『跳鍾馗』は手で人形を操る技のほか、見る人を守るためのおふだやまじないの作法が大事。そうやってこの儀式が見ることもでき、福を祈り平安を守るものになる」と強調する。

実際に「跳鍾馗」の儀式を依頼する際は、半月以上前に予約しなければならない。それは、線香をあげて鍾馗にうかがいを立てたり、天兵天将(神話に登場する将軍や兵士)にも協力を仰ぐといった準備をすると同時に、見る人を守るためのおふだを描いたりする、複雑な手順が必要だからである。

この技を学ぶのは、今では林さんの孫で17歳の林承徳さんと、布袋戯・不貳偶劇団の団長、郭建甫さんのみとなっている。

林さんの特別展「伝統芸師林金錬傀儡戯芸術特展」は、大稲埕戯苑の8階で行われている。

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