製パン・製菓国際見本市「ユーロパン(Europain)」が3日から6日まで仏パリで開催された。4年に1度開催されるパン職人の国際コンテスト「マスター・ド・ラ・ブーランジュリー(Masters de la Boulangerie)」では、台湾からパン職人の王鵬傑(Peng-Chieh WANG)さん、陳有鋕(Yu-Chih CHEN)さん、謝忠祐(Chung-Yu HSIEH)さんの3人が、それぞれ飾りパン部門、グルメパン部門、ニュートリショナル・ブレッド部門に参加した。その結果、王鵬傑さんが道教の神様に扮して練り歩く「官将首」をテーマにした作品で見事優勝に輝いた。
パン職人の台湾代表チームは2008年、仏パリで4年に一度開催されるベーカリーのワールドカップこと「クープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリー」で2位に輝いたことがある。王鵬傑さんはこの年の自分の誕生日に、いつか必ず自分も国際舞台に立つという誓いを立てた。
その後は「この10年間、楽しむということを忘れていた」というほど練習に没頭。妻子と過ごす時間も少なくなり、今大会直前の3か月間は息子とも2、3回しか会っていないという。
審査員の一人、スイス国籍のJohan Sorbergさんは取材に対し、「パン生地の使い方がうまく、完成品の色合いも素晴らしい。作品全体の出来栄えは驚嘆に値する。非常に優れた造形作品だ」と王鵬傑さんの作品を絶賛した。
胃腸が悪い上、自分に対する要求が高いため、体調不良になることを防ぐため、試合中はほとんど何も食べないという王鵬傑さん。大会後に一番したいことを聞かれ、「ホテルに戻って即席めんを5個食べること」と答えた。
王鵬傑さんはまた、「試合にはこだわりぬく気持ちが大切で、大会に出場することだけを目指してはならない。パン職人が持つべきあらゆる技術と能力を身に着け、試合のために本来の仕事をおろそかにするようなことがあってもいけない」と語った。
「マスター・ド・ラ・ブーランジュリー」はパン職人が個人の資格で出場するもので、各部門6か国の代表のみに出場資格が与えられる。出場するのは世界トップクラスのパン職人だけで、さらに各部門の優勝者1名のみに「ワールドマスターベーカー2018」の称号が与えられる。
台湾のパン職人としては2010年、「マスター・ド・ラ・ブーランジュリー」バゲット・パンスペシオ部門で呉宝春さんが初優勝しており、台湾のパン職人が国際舞台で頂点に立つのは実に8年ぶりのこととなる。