2025/07/01

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華人の貴重な史実を記録、ドキュメンタリー『国宝銀行』が米アカデミー賞ノミネート作品に

2018/03/06
米ニューヨークの華僑銀行家、孫啓誠さんが司法に罪を着せられたことに立ち向かった記録映画『国宝銀行:小可坐牢』が米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート作品となった。写真はニューヨークのチャイナタウンにある国宝銀行。(中央社)
米ニューヨークの華僑銀行家、孫啓誠(Thomas Sung)さんが米国の司法に罪を着せられたことに立ち向かったドキュメンタリー映画、『国宝銀行:小可坐牢(Abacus:Small Enough to Jail)』が今年の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞のノミネート作品となった。
 
2008年、米国で起きたサブプライムローン問題による金融危機は世界的な不景気をもたらした。ニューヨークのチャイナタウンにある国宝銀行(Abacus Federal Savings Bank)はそのスケープゴートとなった。2012年に、マンハッタンの検察官、Cyrus R. Vance Jr.氏によって貸付詐欺だと告発されたのである。米国の司法当局が刑事告発した銀行は同銀行のみだった。
 
米国の映画監督、Steve James氏によるドキュメンタリー、『国宝銀行』は、孫啓誠氏とその家族が5年の時と1,000万米ドルを超える費用を使って米国司法当局の不当な告発に反撃すると共に、自らの潔白を証明するまでの感動的な物語を伝えている。孫さんの家族のうち法律を学んだ娘は仕事を辞めて父と共に戦い、最終的に勝訴した。『国宝銀行』は長さ88分。作品は映画界から高く評価され、今年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞のノミネート作品5本に入った。
 
孫啓誠氏とは数十年に及ぶ付き合いだという伍鋭賢氏は最近、中華公所の理事長に就任した。中華公所は米国における華人組織の一つ。伍鋭賢氏は、Steve James監督は「見る目がある」と指摘、勝訴以前に撮影し始め、真実を記録して、華人が米国で遭遇する不公平な待遇や差別視といった事実をスクリーンに描き出したと称賛した。
 
事件のてんまつを詳しく知るニューヨーク中華総商会(The Chinese Chamber of Commerce of New York)の于金山執行長は、映画『国宝銀行』の内容は米国における華人の歴史の一部だと言え、大変特別で有意義な作品だと評価した。
 
国宝銀行(Abacus Federal Savings Bank)は華人の用いる伝統的な計算道具である「算盤(そろばん=Abacus)」を企業名としている。1984年に弁護士だった孫啓誠氏によってニューヨークのチャイナタウンで創業された。主にロウアー・マンハッタンの華僑を顧客とし、新たにやってきた移民たちが比較的容易に貸し付けを受けられ、生活を安定させ、結婚して事業を起こせるようにと営業している。現在、6支店を有し、ニューヨーク州、ニュージャージー州、ペンシルバニア州へと事業を拡大している。
 
 

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