2025/05/22

Taiwan Today

文化・社会

台湾の維管束植物レッドリスト、種の保護に向けた新たなマイルストーンに

2018/04/03
行政院農業委員会特有生物研究保育センターが、台湾本島及び付属諸島における原生の維管束植物4,442種について調査し、過去最大規模の台湾維管束植物レッドリストを作成、発表した。(中央社)
台湾で生育する維管束植物は4,000種あまりに達するにもかかわらず、文化資産保存法によって挙げられている「希少植物」及び「絶滅の恐れのある植物」は5種類にすぎず、植物の現況が反映されていないばかりか、多様な生態系の保護並びに持続可能な環境の実現に不利な状況となっている。このため行政院農業委員会(日本の農水省に相当)特有生物研究保育センターは植物分類を専門とする学者16人を招いて「台湾植物レッドリスト編纂委員会」を組織。さらに50人以上の植物学者、専門家を参与させて台湾本島及びそれに付属する島々における原生の維管束植物4,442種について調査し、過去最大規模の台湾維管束植物レッドリストを作成して発表した。
 
調査の結果、野生絶滅(Extinct in the Wild, EW)とされたものは、「烏来杜鵑(Rhododendron kanehirae)」、「龍潭莕菜(Nymphoides lungtanensis)」、「雅美芭蕉(Musa yamiensis)」、「異葉石龍尾(Limnophila heterophylla)」、「桃園石龍尾(Limnophila taoyuanensis)」の5種。地域的絶滅(Regionally Extinct, RE)とされたのは、「狗舌草(Tephroseris kirilowii, オカオグルマ)」や「黄花蒿(Artemisia annua, クソニンジン)」など22種で、大部分は人による採集、もしくは生育地の消失が原因だった。
 
「台湾維管束植物レッドリスト」は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト評価基準を採用。5大基準は、「個体群の急速な減少」、「生息地の限定や分断、同時に個体群の減少や深刻な増減が起きている」、「個体群が小規模で減少を続けている」、「個体群が極めて小さい」、「量的分析」で、これらを用いて絶滅の恐れがある種を評定するが、同時に地域的な評価手続きも加えている。
 
台湾植物分類学会の胡哲明理事長によれば、希少動物の商業的な売買行為に比べて植物の問題が社会の注目を集めるのは難しい。胡理事長は、台湾には貴重な植物が数多く存在しており、保護が必要であることを人々が理解するよう希望、レッドリストは保護が必要なレベルを大まかに分けているにすぎないとして、幅広い関心を喚起した。
 
 

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